ジャック・ホワイト、長時間のライブを望むファンに回答「マーベル映画ではない」
この記事の写真をすべて見る

 ジャック・ホワイトのライブを観る予定で、彼が長時間の演奏を披露してくれることを期待しているなら、そろそろ期待を少し抑えた方がいいかもしれない。

 現地時間2025年2月8日、ジャックはインスタグラムを更新し、これまでの自身のライブの長さに対する人々の態度についての考えを述べた。Setlist.fmなどのサイトによると、ホワイトの平均演奏時間は90分で、最近のセットリストは16曲から22曲となっている。

 彼は、「この壮大なエレクトリック・ツアーを行うにあたり、僕たちのセットがステージでどれくらいの時間演奏“すべき”かについて、1年を通して多くの雑音を耳にしてきた。まるでショーの長さがその”良さ”を決定するかのように。“誰それが昨夜3時間演奏したんだ!”と言って、翌日にそのことを自慢したがる人が多い時代に生きていることは知っている(笑)。そんな状況で、僕は皆さんにその文脈で“感銘を与える”つもりはないということを、今ここでファンの皆さんに伝えたい」と書き出した。

 続けてジャックは、「ザ・ビートルズやラモーンズは30分(くらい)のセットを演奏していたし、もし可能なら今の自分の演奏活動でも同じことをしたいと思っている。それが今、僕がやりたいショーなんだ。でもチケット代が高いからといって、観客が長時間のショーを期待する“権利”があるというような話になっている。うーん、まあいいか(笑)。だからそのギャップを埋めるためにやっているんだ。皆さんが本物のロックやパンクのライブがどんなものかご存じなのかどうか(あるいは、思い出せるのかどうか?)はわからないが、もしそう考えているなら、それはアリーナで行われる、レーザー光線に花火、あらかじめ作られた動画が流れる巨大スクリーン、観客席の上を飛ぶシンガー、Tシャツキャノンなどがあるようなショーのことだと思う。でも僕たちがやっているのはそういうショーじゃないんだ」と述べた。

 ジャック・ホワイト自身のツアー・ミュージシャンとしての経歴はさまざまな長さのコンサートで彩られている。有名なのは、2007年7月16日にザ・ホワイト・ストライプスのメンバーとして、ジャックとメグ・ホワイトがカナダのすべての州と地域で演奏するという目標を達成するために、キャリア最短のショーを行ったことだ。ニューファンドランド州セントジョンズで行われた“1音”ショーは、残念ながらギネス世界記録への登録は認められなかった。

 しかし、この短いコンサートは、観客の期待に対するジャック自身の批判に沿ったものだ。ブルース・スプリングスティーンが平均3時間のセットリストを組み、フィッシュやデッド・アンド・カンパニーは平均4時間に近づいているかもしれないが、目の前に集まった観客に何が一番合うかがすべてだとジャックは説明している。

 彼は、「僕は45分間という長さで心を揺さぶり、信じられないほどインスピレーションを与えてくれたロックンロールのライブを数多く見てきた。その場の雰囲気を読み取り、観客を疲れさせ、インスピレーションを与え(できれば)、何よりももっと観たいと思わせる、3時間かけることなく。それは300兆ドルもかけて作った映画の方がもっと素晴らしいはずだと言っているようなものだ。まあ、そんな映画は見たことがないが」と続け、「ファンのみんなへ愛を込めて。僕には毎晩、君たちの顔が見えているし、これまでの人生で20分であろうと2時間であろうと、いい加減にやったことは一度もないと断言できる。僕はその場が促すままに、そして共有するために全力を尽くしている。だからといって、観客が大きな声援を送れば、演奏時間が長くなるというわけでもない(笑)!セットリストは決まっていないし、マーベル映画でもラスベガスの常駐公演でもない。ロックンロールであり、生きている生命体なんだ」と綴っている。

 ジャックは現在、最新ソロ・アルバム『ノー・ネーム』を携えて2024年に開幕した長期間にわたるワールド・ツアーの真っ只中にある。ライブの長さと同様に、当初はツアーの大部分を比較的即興で進める予定だったが、より具体的な日程が2024年11月に発表された。

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼