34億円。プロテニス選手の錦織圭の年収だ。淡い幻想を抱いてしまうが、「テニスで食べる」のは想像以上に難しい。テニス雑誌元編集長の著者がプロテニス選手の経済事情を赤裸々に明かす。
 主人公は錦織より2歳年下の関口周一。世界ランキング最高位は259位。中学校から完全にテニスに専念、高校も通信制を選んだ。サラリーマン家庭に育った彼がプロになるまでの家計の負担、そして今の収入。日本ではトップ10に入っており、海外を転戦しているが、年間の獲得賞金は200万円にも満たない。
 関口はジュニア時代は世界ランク5位にまでのぼりつめ、将来を嘱望された。一つの試合の一つのミスで歯車が狂い始めるのだが、それは一流と二流の差が紙一重であることも物語る。関口の再飛躍に期待したい。

週刊朝日 2016年10月21日号

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