対面証券の窓口や営業担当者の「おすすめ」で売れているのかと思ったが、コストに敏感な人が多く「おすすめ」はされないネット証券でも売れていた。
「楽天証券の24年1月から8月の預かり残高でランキングすると、アライアンス・バーンスタインのDコースは11位。インベスコの世界厳選株式は17位です。毎月分配型なので新NISAでは買えませんが、資金が流入しています。運用資産の一部を定期的に受け取りたい方に人気があるようです」(山口さん)
楽天証券以外の主要ネット証券4社からも同期間で預かり残高のデータを入手したが、4社ともそれなりに上位だった。
ネット証券「以外」も含め、どれくらい買われているのか正確な数字(純流入額)を知りたい。国内で販売される投資信託のほぼすべてのデータを持つ、ウエルスアドバイザーの投資顧問部長の武石謙作さんに聞いた。
「国内公募追加型株式投資信託(日本で個人投資家が原則いつでも買える、株式投資信託/ETF除く)を対象に、年間の純流入額を調べました。アライアンスDは22年が4563億円で年間2位、23年が1397億円で7位、24年(10月まで)が8991億円で3位。インベスコは22年が1742億円で7位、23年が7574億円で1位、24年(同)が5241億円で4位となりました」
アライアンスDもインベスコも年率2%近い信託報酬なのになぜ売れる? いずれもコストは高いがリターンはeMAXIS Slimの米国株式や全世界株式といい勝負なのだ。そして、どちらも原則毎月分配。アライアンスDは直近1年の合計で3300円(1万口当たり)、インベスコは1800円(同)。リタイア後に「運用しながら取り崩したい(定期的な分配金が欲しい)人」がまとまったお金を入れているのだろうか。
分配金を毎月受け取るということは、「毎月、資産の一部を利益確定している」状態に近い。本来は含み益も含めて複利で運用したほうが効率よく増えるので、資産形成期に毎月分配型はおすすめできない(本誌の意見)。ただ、リタイア後の選択肢の一つとして「ダメ」ではない。信託報酬が高くても、リターンが見合っていれば。
そう、肝心なのはリターンだ。インデックス投資信託(市場平均)を上回るアクティブ投資信託の数はいかほどか。本数ベース・年単位で「勝って」いる回数を武石さんが検証した。
検証期間は20年。国内株式、米国株式、先進国株式それぞれでアクティブ投資信託がインデックス投資信託(市場平均)を上回った割合は?
「04年から23年の毎年の1年リターンで見て、アクティブのうち市場平均を上回った投資信託の割合が5割以上だった年を『勝ち』、それ以下の年を『負け』と仮に表現します。結果、米国株式と先進国株式のアクティブ投資信託はどちらも20年で勝ち3回。国内株式は20年で勝ち8回でした」
やや厳しい結果である。