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フィルターバブル現象
SNSは誰もが自由に情報をやりとりできる一方、アルゴリズム(計算手法)によって自分好みの情報だけに包まれる「フィルターバブル現象」が起きる。
「その結果、マスメディアが言っていることと自分が見ているフィルターバブルの中の世界が違うことから、内在的にある敵対的メディア認知に火をつけネット世論の盛り上がりに繋がった可能性があります」(米重さん)
ネットメディア論が専門の国際大学GLOCOM准教授の山口真一さんは、「SNSは怒りや対立構図など、感情に強く訴える情報ほど拡散しやすい傾向がある」と語る。例えば兵庫県知事選では、斎藤氏の「既得権益と闘う」「正義対悪」といった対立構図や正義感や怒りをかき立てるナラティブ(物語)がSNS上で広く拡散された。
「怒りの感情が広がり、そこから斎藤氏への支持につながっていきました」
同時に、こうした言説を広めるインフルエンサーの存在も大きかったと山口さん。
「インフルエンサーが、真偽不明情報も含む様々な情報を発信することで、そのインフルエンサーの支持者が拡散し、斎藤氏を支持するコンテンツが幅広く拡散することに繋がりました」
兵庫県知事選では、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が、斎藤氏をサポートするため知事選に立候補。得意のYouTubeで、「真相はこうです。斎藤さんは悪い奴だと思い込まされているんです」などと持論を展開した。
立花氏の発言は「無敵」
社会情報学などを専門とする学習院大学名誉教授の遠藤薫さんは、立花氏のような発言は「無敵」だと言う。
「米国の大統領となったドナルド・トランプ氏も同じです。トランプ氏の主張も単純で、客観的事実に基づいた論理的主張でなく、一方的な攻撃。『これまでのものは全部ダメ、正しいのは俺だ』と、既存のものを全否定することで、自分を全肯定する。このような論法は突っ込みようが全然ないので『無敵』。いったんその影響を受けると、そちら側の発言ばかりが耳に入り、思い込みが強化されます」
こうしてネット上で形成されたネット世論。だが、SNSは「諸刃の剣」だ。熱狂だけでなく、むき出しの欲望や不満も拡散する。民主化運動を支えるツールになることもあれば、世論操作に悪用されることもある。
JX通信社代表の米重さんは「ネット世論によって共通言語がなくなった」と指摘する。
「SNSによって誰もが発信できる時代になり、声を上げる人があちこちに出てきてその人の周りに同じような意見の人が集まり、クラスターがどんどんできている状態です」