中居正広さんにまつわる週刊誌報道から始まった#MeTooが日本社会を揺るがしている
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 作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、中居正広さんの週刊誌報道からはじまった、日本の#MeTooのその先について。

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 #MeTooが止まらない。先週末は「#私が退職した本当の理由」というハッシュタグがトレンド入りしていた。希望をもって入社した会社で、どのような目にあったか。女というだけで、どのような屈辱を受けてきたのか。女性たちが溢れるように語り出しているのだ。

 もちろん背景には、フジテレビを巡る一連の報道がある。中居正広さんに関する週刊誌報道から、日本社会を揺るがすまでに発展した#MeTooが日本の根本を揺さぶっている。

 被害は詳細に語られる。入社直後、「今年の新人の顔はどう?」とニヤニヤと取引先の男性が聞いてくる。それに困ったように答える先輩たちがいる。難しい取引先に若く綺麗な女性が同行することになっている。職場の男性たちが連れ添って風俗に行き、その話がオープンに語られる。日本を代表する大手企業の名前と共に語られる被害は、あまりにも簡単に想像でき、とても簡単に理解できる。そのくらいに、私たちの絶望は似ていて、「わかるよ、私もそれ、味わってきたよ」と女性たちは息を吐くのだ。

 それにしても、ここまで大きな話になるなんて、誰が思っていただろうか。先日、海外メディアから「日本で何が起きているのか?」と驚いた調子でコメントを求められた。有名人の週刊誌報道ではなく、その後に起きた社会の反応に、である。今回は、スポンサーが一斉にフジテレビから離れた。コンプライアンス違反を理由にして生島ヒロシさんがすべての番組を降り、芸能活動を無期限で自粛するなど、影響が広がっている。5年前だったら、ここまで急激にことが進んだだろうか? 日本社会が性に関して急激にカーブを切ろうとしているのだ。振り落とされる人は、きっとものすごい数いるだろう。

 フジテレビの記者会見を観た。さすがに10時間は無理だったが、横になりながらスマホで聴いていた。率直に言えば、時間が長いだけで中身の薄い記者会見であった。記者会見後、むしろ、フジテレビに同情の声が大きくなったのは世情のリアルというものであろう。

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