2024年「シチズン・オブ・ザ・イヤー」表彰式に参加した武内陶子さん(本人提供)
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 2月、一年の寒さの底ですねー。まだまだ寒い日々いかがお過ごしでしょうか。東京は意外にも緑が多く、この季節は近所を散歩していると、ふいに空から降ってくる梅の良い香りにハッとして、思わず「春」を探してしまいます。

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 さて私、武内陶子、この度「シチズン・オブ・ザ・イヤー(略称シチズン賞)」の選考委員長なるものを拝命いたしました。このシチズン賞というのは、みなさまよくご存じの時計のシチズンが、世の中に感動を与えた良き市民(シチズン)を見つけ出し顕彰するというもの。まさに社名に市民=シチズンを掲げるシチズン時計株式会社が、市民主役の現代社会において意外にも市井の人々にフォーカスした賞がないということに気づき1990年に創設した賞で、なんと今年で35回目を迎えるという歴史ある賞なのであります。まさに「シチズン」が「シチズン」を表彰するというちょっとシャレの利いた素敵な賞。言葉遊びが大好きな野生のトーコとしては、このコンセプトにまずハートを掴まれてしまいます。ちょっと粋ですよね。

 で、この賞、実はその選考方法がユニークでして。1年間の全国の主要な日刊の新聞で、自己実現や社会貢献などのいろいろな分野で活動して記事として取り上げられた人や団体の中から、こちらが勝手に選ぶというものなのです。

 まずは1月から12月までの記事の中から、シチズン賞の事務局が20くらいの候補に絞り、最終的に年明けの選考委員会で討議して3組の受賞者を決めます。

 選考委員は大手新聞社(朝日/毎日/読売/日経/産経)の社会部長、女優で人権活動家のサヘル・ローズさん、スポーツコメンテーターの益子直美さん。そして選考委員長を私が務め、今年1月に第35回のシチズン賞が決定し、3組の方たちが受賞なさいました。

 この賞の面白いところは、受賞なさる方がまったく受賞を意識していないということ。こちらが新聞記事を読んで選ぶので、みなさん応募もしていないのにいきなり「おめでとうございます! シチズン賞に選ばれました!」って電話がかかってくるわけ。すごいサプライズ。ちょっと楽しいでしょ?

 でもそこからが大変です。こちらが選ぶだけに、受賞者のみなさんは「詐欺じゃないのか」と思うわけです。今年も1月6日の選考委員会のあと間髪を入れず受賞者のみなさんに、手分けして即電話をかける事務局メンバーたちを目撃。

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受賞者たちから“詐欺”を疑われる?