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注目対局や将棋界の動向について紹介する「今週の一局 ニュースな将棋」。専門的な視点から解説します。AERA2025年2月10日号より。
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将棋史上初の「女性棋士」誕生はならなかった。
1月22日、大阪・関西将棋会館において、棋士編入試験五番勝負第5局・西山朋佳女流三冠(29)-柵木(ませぎ)幹太四段(26)戦がおこなわれた。社会的に注目を集める中、結果は大熱戦の末、135手で柵木四段の勝利。西山は2勝3敗で、残念ながら試験は不合格となった。
終局後のインタビューで、まず西山が口にしたのは、難しい立場で西山と対戦した若手棋士5人への謝意だった。
「それぞれの考えで向き合ってくださったことについて、すごく感謝しています」(西山)
西山と柵木は棋士養成機関の奨励会で、切磋琢磨してきた間柄だった。
「中終盤、こちらが形勢よくても、追い込まれていく感覚は、昔から指したときに感じていたもので」「とても力を感じました」(柵木)
重圧がかかる中、西山の対局姿は自然体に見えた。
「想像以上にけっこう、いつも通りだったというか。棋士の中でもたくさん指している方というところもあって、あまり緊張せずに挑めていたのかなと思います」(西山)
西山はハードスケジュールの中での受験。さらには途中で新型コロナウイルス感染というアクシデントにも見舞われた。そうした中でベストを尽くし、持ち前の豪快さと粘り強さで好局を残した。
「棋士」の制度とは別に設けられている「女流棋士」の制度は、昨年2024年で50周年を迎えた。その中で現在「二強」と呼ばれる福間香奈女流五冠(32)と西山はすでに、棋士になってもなんらおかしくはない実力者だ。
女流棋界50年の歳月はもちろん長い。しかし400年以上の将棋界の歴史の中では、まだこれからとも言える。さらなるレベルアップがあれば「女性棋士」誕生は、いずれ自然と実現することだろう。(ライター・松本博文)
※AERA 2025年2月10日号
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