「テレビの申し子」でもあった中居正広氏。2020年の独立後は番組MCなどとして活動していたが……
この記事の写真をすべて見る

 元SMAPの中居正広氏が、女性トラブルで芸能界からの引退を表明した。テレビの最後の黄金期を駆け抜けたSMAPとは、何だったのか。AERA2025年2月10日号より。

【表を見る】老若男女に愛されたSMAP結成からの軌跡はこちら

*  *  *

 SMAPがCDデビューした1991年は「男性アイドル冬の時代」だった。そこに現れたのが、SMAPだった。既存のアイドル像を覆し、国民的な存在へと成長した。

『夢物語は終わらない〜影と光の“ジャニーズ”論〜』の著書がある作家の霜田明寛(あきひろ)さん(39)は、こう語る。

「SMAP以前の80年代後半くらいまでのアイドルは、テレビの中でも基本的に歌番組を主戦場とし、数年経てば引退していきました。それがSMAPはバラエティー番組にも進出し、これまでのアイドルと全く違っていました」

老若男女のファン獲得

 その人気を決定づけたのが、96年にフジテレビ系列で始まったバラエティー番組「SMAP×SMAP」だった。放送は月曜夜10時。アイドル主体のこの番組は当初、成功するはずがないと言われた。

 だが、番組内でコントを披露し、料理をつくるなど、メンバーの素が見える演出が当たった。格好いいだけじゃなく、面白い。若い女性だけではなく、日本全国で老若男女のファンを獲得していった。

「SMAP×SMAPの成功によって、他のアイドルも歌以外でもテレビで活躍できるようになり、アイドルの寿命を延ばすことにもなりました。同時に、旧ジャニーズとテレビとの関係性は強くなったといえます」(霜田さん)

 SMAPの存在感が増すのと比例して、芸能界で絶大な力を持つようになった旧ジャニーズ事務所。番組のキャスティングなどに“物言う事務所”となる中、2015年ごろスタッフの対立など内紛が表面化した。SMAPの活動への影響も大きく、翌16年はデビュー25周年にもかかわらず新曲発表やツアーは実施されない事態に。急速に露出が減る中、同年12月31日、SMAPは解散した。

次のページ
テレビの凋落とともに