ずん・飯尾和樹さん(撮影/いずれも写真映像部・和仁貢介)
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 お笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹さん(56)のギャグに派手なアクションはない。“忍法メガネ残し”“ぺっこり45度”……。ちょっとしたしぐさでだれにでも伝わる笑いをつくる。競争が激しいお笑いの世界で着実に人気を得てきた秘訣はどこにあるのか? 仕事への向き合い方は? インタビューから見えてきたのは「先輩たち」の影響だ。あの“お笑い二大巨頭”が見せた粋な人間力とは。

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――『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)にレギュラーでご出演されていますが、さんまさんのどんなところにすごさを感じますか

 さんまさんは、やっぱりスーパースターですね。仕事場では、「一緒に死んでくれる」というか、ボケに対して一緒に泥だらけになってくれるんです。必ずノッてツッコんでくれて、すかされることはない。どうしようもないくらいこっちが滑ってもフォローしてくれて、最後は笑いに変えてくれるんです。そのさんまさんがよく口にする「しゃーないやろ」という言葉が好きなんですよね。後輩の芸人がさんまさんに相談すると、よく言われるんです。「それはもう起きてしまったのだから、今後、前を見てどう進めていくのか、笑いに変えていくのかが大事」ということなんですよね。

誰かが頭を下げてくれてこの仕事が決まったのかな

 年に何回か食事会を開いてもらうんですけども、まだアルバイトをしている後輩芸人に対し、さんまさんが「この世界な、食べられなくて当たり前の世界やからな」っておっしゃったんです。それを聞いて、「こんなスーパースターでも腹をくくってやっているんだな」と思いましたね。

――飯尾さんも同じく、1つ1つのお仕事を当たり前と思わず、一生懸命、丁寧にやられているように見えますが、そこにある“思い”は何でしょうか

「誰かが頭下げてくれて、この仕事が決まったのかな」とは思いますよね。駆け出しの時は、(事務所の先輩の)関根(勤)さんが僕たち(ずん)のことを「よろしくお願いします」って言ってくれていたわけなんです。関根さんとさんまさんって“戦友”で、すごく尊敬し合っているんです。さんまさんとの出会いも、最初は「関根さんのところの飯尾」から始まっているので。自力でさんまさんには会えないですよね。だから、関根さんのおかげなんです。他にもいろいろな先輩方が宣伝してくれたから、ここまで来られたのだと感じています。

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鶴瓶師匠が観客の前で「こいつは、いいよ」って