「受験生がんばれ!」とは逆行
もちろん、教育虐待は解決すべき社会問題であることは間違いない。ただ、今の時期は小学生が挑む中学受験も含めて入試の“超直前期”である。親子ともにセンシティブになっている時期に、このCMが頻繁に流れる現状に対して、SNSでは特にCMの少年くらいの子どもを持つ親から、疑問や嘆きの声が噴出している。
《受験まで追い込みのこの時期にわざわざ流す必要がある?》
《やる気なくしたらどう責任を取ってくれるんだ》
《勉強しない子どもに勉強しなさいって言っちゃいけないの?》
《胸が痛い。ちゃんと合格できるのか、親だってすごく苦しいんだよ》
特に中学受験界隈では“炎上”気味になっているのだ。
CM差し替えはスポンサーの意向とみられ、フジテレビ側に落ち度があるわけではないが、思わぬ余波が広がった形だ。
大手広告会社で企業の広告戦略立案などを経験し、企業の危機管理にも詳しい桜美林大の西山守准教授は、今回のケースについて、
▽CMの中での表現
▽CMを流すタイミング
▽CMが流される量(ボリューム)
の3つの側面から考える必要があると前置きして、こう指摘する。
「表現自体については、なんら問題はないと思います。ただ、タイミングが受験シーズンであったことと、流される量が多かったことから炎上気味になってしまったのでしょう。企業のCMやメディアなどが『受験生がんばれ!』というトーンになっている時期ですから、逆行するような形になってしまった。急な対応ですから、そこまで計算して差し替えはできなかったのだと思います」
ただ、反響があるということは、それだけメッセージにインパクトがあったということでもある。
西山准教授は言う。
「東日本大震災以降、ACジャパンの広告は、社会的に問題になっているテーマをしっかり扱うようになっています。洗練された、視聴者に響くものを作っているがゆえに、炎上気味になっているのかもしれません」
中居さんとフジテレビの問題は、今後も想像できない“余波”を生むかもしれない。
(國府田英之)