
58mmに続くボケ味に注力した大口径レンズ
ニコンの中望遠レンズの代表格ともいえる105mmレンズに新しく開放F1.4の大口径レンズが加わった。
ポートレートで定番の85mmレンズではF1.4級のものも珍しくはないが、105mmという焦点距離では世界初となる。両者の画角の違いはさほど大きくはないが、各社ともに明確に存在を分けている。100mmクラスになると明確な望遠効果が表れるからだろう。
本誌読者には釈迦に説法であろうが、レンズの焦点距離を有効口径で割った値が開放F値となる。F1.4という大口径を実現したためレンズ前径は大きく、AF機構を内蔵したこともあり鏡胴も太めだ。フィルター径は82mmで重量は985グラム。明確な撮影目的を持った人のために用意されたレンズだろう。
ツァイスのOtusシリーズなど、描写性能を追求するためにAF化を見送り、MFにしたレンズもある。この理由はレンズの大きさや重量、移動スペースを考慮する必要があり、光学設計に制約が生まれると考えたからだ。しかし、本レンズは当然のごとくAFだ。しかも動作速度も快適なのは、素晴らしい技術である。インナーフォーカスのため、全長の変化がないこともあるが、バランスもよく使用感は通常のレンズと同じである。
本レンズの設計思想もAF-SNIKKOR58mm f/1.4Gと同様に、合焦位置だけの評価ではなくボケ味など画面の奥行きまでを考慮した三次元的ハイファイに基づいた設計をしているが、58mmと異なり、絞り開放時、至近距離でのシャープネスが高められているという。これは実写でも確認することができ、描写性能は100点をつけてもよい出来だ。
惜しいのはEタイプ(電磁絞り)となったことで過去の一部のデジタル一眼レフ、F6も含めすべてのフィルム一眼レフには使用できないことだ。




◆赤城耕一
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●焦点距離・F値:105mm・F1.4●レンズ構成:9群14枚(EDガラス3枚)●最短撮影距離:1.0m●最大撮影倍率( 35mm判換算):0.13倍●画角:23°10′●フィルター径:φ82mm●大きさ・重さ:約φ94.5×106mm・約985g●価格:25万9200円(実売23万3270円)