この項目でトップの数値評価を獲得した生徒たちは、高校でふたつの課外活動に参加し、両方とも数年間継続したうえに、どちらも顕著に進歩した(たとえば、「学校新聞の編集長になった」「バレーボールでMVPに選ばれた」「美術作品で受賞を果たした」など)。
ウィリンガムが報告書で例に挙げた生徒は、「学校新聞の編集委員を3年間務めたのち、編集長となったうえ、陸上部にも3年間在籍して、重要な大会で優勝を飾った」。
それとは対照的に、複数年にわたって続けた活動がひとつもない生徒たちは、「最後までやり通す」項目で最低評価が付けられた。なかには高校時代に参加した活動がゼロという生徒も数名はいたが、大部分の生徒は、ひとつのクラブやチームで1年ほど活動しただけで、翌年はまったく別のことを始めるといったことを繰り返していた。
「1年以上継続」「進歩」を経験した人が成功する
「最後までやり通す」という項目における数値評価の高さは、生徒の数年後の成功を如実に示していた。
高校の成績とSATのスコアが同じレベルの生徒たちのその後のようすを比較した場合、高校の課外活動を最後までやり通した生徒は、ほかのどの項目で高評価を獲得した生徒よりも、優秀な成績で大学を卒業したことがわかった。
指名や選挙などでリーダーに選ばれる確率の高さも、「最後までやり通す」の項目において高評価を獲得した生徒たちがずば抜けていた。
科学、テクノロジー、芸術、スポーツ、文章力、スピーチ、起業家的発想、社会奉仕などにおいて、もっとも顕著な成果を残す確率の高さについても、100以上の全項目中「最後までやり通す」の項目で高評価を獲得した生徒たちがずば抜けていた。
ここで注目すべき点は、高校で「どんな活動に打ち込んだか」は問題ではないことだ。テニスでも、生徒会でも、ディベートクラブでも何でもいい。重要なのは、やろうと決めたことを、1年たってもやめずに翌年も続け、そのあいだに何らかの進歩を遂げることなのだ。
(本連載は書籍『やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』より抜粋しています)