それを調べるため、ウィリンガムの研究チームは、数千名の生徒を対象に、高校の最終学年から5年間の追跡調査を行った。

 はじめに、各生徒の大学への入学願書、アンケート調査への回答、作文などの本人が書いた文章、インタビューの記録メモ、学校の成績表などが収集された。つぎに、それらの情報にもとづき、100項目以上もの個人的な特徴について、数値による段階評価が行われた。

 たとえば、親の職業や社会的地位などの家庭環境や、将来の職業として本人が興味を持っていることや、大学への進学希望、学生時代に達成したい目標など、さまざまな項目が網羅されていた。

「最後までやり通す」性格が決定的要因だった

 やがて、生徒たちが大学課程を修了すると、つぎの3つの基準に該当する、成功の客観的な測定値が集められた。

「学業において優秀な成績を収めたか」

「若手としてリーダーシップを発揮したか」

「科学、テクノロジー、芸術、スポーツ、文章力、スピーチ、起業家的発想、社会奉仕などにおいて顕著な成果を収めたか」

ある意味で、「性格的特徴研究プロジェクト」は競馬のレースに似ていた。研究開始時に数値評価が行われた100以上もの項目のうちどれかが、その後の人生の成功を左右する最大の要因――ダークホースにちがいないのだ。

ただし、最終データが収集される数年前に書かれた初回の報告書を読めば、ウィリンガムがこの問題に関して、まったく先入観にとらわれていなかったことは明らかだ。各要素について、項目に加えた論理的根拠や測定方法なども含め、系統的な説明を行っている。

しかし、ついに5年分のデータがそろったとき、ウィリンガムは自分の結論に対し、明確な自信を持った。一頭の駿馬が大差で圧勝したのだ。

それは、「最後までやり通す」という特徴だった。

ウィリンガムの研究チームは、「最後までやり通す」という性格的特徴について、つぎの方法で数値評価を行った。

「“最後までやり通す”という項目については、高校のときに何らかの活動にしっかりと継続的に取り組んだか、それともさまざまな活動に気ままに手を出したかについて、具体的な根拠にもとづいて数値評価を実施した」

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