1月14日、キャサリン妃(43)はロンドンのチェルシーにあるロイヤル・マースデン病院を訪ねた。妻をがんで亡くしたウィリアム・マースデン博士が1851年に創立し、がんの研究と治療に特化した世界初の病院だ。ここでキャサリン妃はがんの化学療法を受けた。
この記事の写真をすべて見るこの日は、暖かみがあふれるバーガンディー(紫がかった赤)色のセーターに同色系のスカート姿。「病院の裏口からではなく正面玄関から入るのは、とても新鮮です」とユーモアを込めて話す姿に、安堵感がにじんだ。これまではメディアを避けて常に裏口から出入りしていたためだ。
SNSで自らがん寛解を報告
治療を担当した医師や看護師に会い、感謝の想いを伝えると、キャサリン妃はがん患者一人一人と話すことを希望したという。笑顔を絶やさず患者の手を優しく握り、「トンネルの先には必ず光が見えますから」と励ました。
キャサリン妃と話した女性患者は、妃は「コールド・キャップ(cold cap)を着ける必要がありませんでした」と打ち明けたと言う。これは、化学療法の際に頭髪の脱毛を抑える効果があるとして、イギリスでは装着する患者は少なくないそうだ。
さらに、この女性はキャサリン妃について「親しみやすくて、まるで昔からの友人のように言葉を交わした」と感激の面持ちで話している。妃は患者の話しに熱心に耳を傾け、「明るい気持ちでいることが治療に効果があります」と話しかけたそうだ。だが、最後まで、自身のがんの部位やステージなど病状の詳細は明かさなかったという。がんの場所を特定すれば、そのがんだけに焦点が当ってしまう。それを避ける配慮だとみられている。 そして、病院訪問後には、SNSでがんの寛解を報告した。
キャサリン妃が自らの口でがんと診断されたことを明らかにしたのは、昨年3月のことだ。その2カ月前に腹部手術を無事に終えたものの、その後の検査でがんが見つかった。ただ、当時はすぐに公にせず、公務などに姿を見せない状態に。そのため「昏睡状態にあるのでは」「すでに亡くなった」「ウィリアム皇太子は離婚の手続きに入った」「整形手術の失敗」など、アメリカなどからも中傷や批判がわきおこった。事態の鎮静化をはかるためでもあったのだろう、SNSに動画を投稿。国民に語りかける姿は誠実で、以来、多くの人がキャサリン妃の快復を願ってきた。