チャールズ国王のがん治療は継続中
その後、同年6月にはチャールズ国王(76)の公式誕生日に姿を見せ、11月の戦没者追悼記念式典には2日続けて参加。12月には例年通りクリスマスの集いを主催している。そして、今回の寛解のニュースに国民は安堵し、多くの喜びのコメントが届けられた。ただ、キャサリン妃は、「キャンサー・ジャーニー(がんの旅路)は長くて厳しい。今後もがんがない状態が続くように心がけたい」と慎重な一面も見せている。
一方、同様にがんを患うチャールズ国王から「寛解」の発表は今のところなく、治療が続けられている。それでも、ウィリアム皇太子(42)に手伝ってもらいながら、一定の公務は行っている。1月27日は、第二次世界大戦時にドイツ・ナチスがポーランドに建設した強制収容所アウシュビッツ・ビルケナウ解放から80周年を迎える。その記念式典に国王は出席する予定で「寿命に多少影響があっても、できるだけ公務はこなしたい」と覚悟を話しているという。
英王室のスリム化を目指すウィリアム皇太子
そんな父の姿をそばでみているウィリアム皇太子は、いま新しい王室の在り方を模索していると伝えられている。具体的には、まずロイヤルのスリム化を進めるという。エリザベス女王夫妻、ヘンリー王子夫妻、アンドルー王子と、ここ数年で上級ロイヤルの数が急激に減少した英王室。だが、人数が不足するとして、ヘンリー王子夫妻を王室に呼び戻す考えは今のところ皇太子にはない。チャールズ国王は「扉はいつでも開いている」との姿勢を見せるが、皇太子は「弟に対しあまりに頑なである」と一部のメディアから批判されても、一貫した姿勢を見せている。ロイヤルの人数が減れば公務数を減らさざるを得ないが、国民は税負担が減少するとおおむね賛成である。英王室のスリム化は自然な流れで、それだけに公務を厳選し、国民の関心が高いものに絞る予定だ。
英連邦からの離脱を模索
次は、英連邦からの離脱だ。英連邦は大英帝国時代の旧植民地などを中心とした56か国のゆるい互助組織だが、ウィリアム皇太子は「時代に合わない」と考えているという。そして、最後は自身の家庭を尊重する日々の確立だ。キャサリン妃のがん罹患に関係することだが、今後、国王になったとしてもこれまで以上に「ファミリーファースト」を掲げ、家族の体調を優先させるためスケジュール変更もあるとしている。
2024年はチャールズ国王とキャサリン妃のがんが発覚し、治療に取り組む厳しい年だった。今年は、キャサリン妃の言葉を借りると「楽しみにしていることがいっぱいある」一年になる予定だ。 ‐
(ジャーナリスト・多賀幹子)
*AERAオンライン限定記事