記者会見に臨む港浩一社長(左から2人目)らフジテレビ幹部。具体的な説明を避ける姿勢と雄大な富士山の絵画がなんともミスマッチに映る(写真/朝日新聞社)
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 フジテレビの港浩一社長は17日、タレント・中居正広氏の問題をめぐり記者会見を開催。トラブルの詳細や社員の関与など、核心については「調査委にゆだねる」とのコメントに終始した。AERA 2025年1月27日増大号より。

【写真】謝罪文が批判を呼んだ中居氏

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 時間稼ぎ。そんな批判も免れないだろう。17日、フジテレビの港浩一社長らが記者会見を開き、中居正広氏の女性とのトラブルをめぐる問題とフジ社員の関与など一連の報道に言及した。港社長は「会社の責任を矮小化するつもりはない」として第三者の弁護士を中心とする調査委員会が調査を進めるとする一方、トラブルの詳細や社員の関与は「調査委にゆだねる」と連発し、説明を避けた。

説明責任を放棄

 会見の形式にも疑問の声が上がった。参加できたのはラジオ・テレビ記者会、東京放送記者会に加盟するメディアのみ。雑誌社やネットメディア、フリーランス記者らは排除された。AERAもフジテレビ広報部に対して参加を要望したが、加盟社でないことから拒まれた。同局は加盟社以外の参加を断る理由を「記者会主催の定例会見の枠組みで行うため」としている。ただし、記者会側は「フジテレビにオープンでの開催を求めたが拒まれた」と説明する。さらに参加する社に対しても、会見で関係者の実名が挙がる懸念を理由に「中継NG、内容の報道は会見終了後」との条件が付いた。

 参加を断られたフリージャーナリストはこう批判する。

「疑惑を最初に報じた週刊誌や、厳しい質問をするフリーを排除して、説明責任を放棄している。フジテレビには今後、報道を担う資格がないのではないか」

 一連の疑惑が最初に持ち上がったのは、昨年12月19日発売の「女性セブン」によるスクープだ。2023年に中居氏が女性との間に重大トラブルを起こし、巨額の解決金を支払ったこと、フジテレビ社員が関与していることを報じた。その翌週には「週刊文春」が追撃。フジテレビ編成幹部を交えた複数人で食事する予定だったものの、中居氏以外の参加者がドタキャンしたこと、その場で被害女性が意に沿わない性的行為を受けたことなどを伝えている。「週刊文春」はその後、被害女性がフジテレビのアナウンス室長(当時)らに被害を報告したものの適切な対応をしてもらえなかったこと(1月8日発売号)、件の編成幹部がセッティングする中居氏らとの別の飲み会に参加させられたフジテレビアナの証言(1月16日発売号)などを続報した。

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「上納文化」と呼ばれる悪しき慣習