視線まっすぐ、健康そのもの(撮影・上田泰世/朝日新聞出版写真映像部)

「私がもしオルカンの後を追う運用会社の社長なら『仕掛けてやろう』っていう気になります。値下げ競争になるのは仕方ない。

ただ、赤字の投資信託が当社に値下げ競争を仕掛けても、投資家に見透かされるのではないでしょうか。この投資信託は10年、20年、ちゃんと運用してくれるのか、と」

 2023年10月に「eMAXIS Slim」のS&P500やオルカンより0.0016%ほど安いものも登場している。

 だが、2024年10月15日現在、追従値下げはしていない。当該投資信託の運用報告書などを元に検討していくが、「最安コスト」の方針をやめたわけではない。

 しかし、信託報酬を下げるだけでは自社の利益が減るばかりで健全な運用ができなくなるのでは。

「規模のメリットも生かし、運用コストを減らす工夫を続けています。現状の薄利多売でもライバル商品と比べて段違いの預かり資産があり、利益は出ているので大丈夫です。

信託報酬だけで投資信託の比較をされがちですが、リターンも見ていただきたいです」

毎月分配型ブーム

 見た目の信託報酬は安くても、トータルリターン(分配金なども考慮した正味の利益)で劣る投資信託が存在する。

 運用の巧拙、信託報酬の外でコストを抜いていることなどが、安くても利益で負ける原因だ。基準価額やトータルリターンだけは、小細工やごまかしが利かない。

 全く同じインデックスに連動する投資信託なら、信託報酬ではなくトータルリターンで比較したほうがいい時代かも。

 三菱UFJアセットは前身の国際投信投資顧問時代、「グローバルソブリン・オープン(毎月決算型)」の純資産残高を5兆7000億円まで積み上げた実績がある。

「グロソブ」の略称で愛されていた。毎月分配型ブームの火付け役だ。

「投資信託の銀行窓販が解禁されたばかりの地方銀行や信用金庫を中心に、グロソブが数多く販売されました。

今は『勧められたからではなく、自分で考えて買う』投資家が増えています」

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