結婚を前に朝見の儀で昭和天皇からお祝いの言葉を贈られた三笠宮崇仁さまと百合子さまの長女の近衞甯子さん。このティアラは、高円宮妃の久子さまが着用されている=1966年、皇居

 次の世代に受け継がれているティアラもある。

 秩父宮妃の勢津子さまが結婚の際にお使いだったティアラは、平成の時代に美智子さまがお召しであったことから、皇后雅子さまの顔の上で輝く機会もありそうだ。

 三笠宮崇仁さまと百合子さまの長女の近衞甯子さんが着用していたティアラは、久子さまがスウェーデン王子の結婚式でお使いになっており、それぞれの宮妃に受け継がれる宝冠もいくつかあるようだ。

愛子さま着用の可憐な細工のティアラ

黒田清子さんからお借りした可憐な小花の意匠のティアラを着用し、成年の行事に臨む愛子さま=2021年12月、皇居・宮殿西車寄

 天皇、皇后両陛下の長女、愛子さまは21年12月に成年の儀を迎えたが、ティアラの新調を控えており、叔母の黒田清子さんから借りたティアラと宝飾品一式をお使いだ。

 清子さんの「内親王のティアラ」は、重厚感のある皇后や皇太子妃のティアラとも違う魅力がある。地金の唐草文様は細く繊細なラインで表現され、カスミソウなどの小花が咲くような可憐なデザイン。日本の職人らしい優雅さにあふれるこのティアラは、花のようにほほ笑む愛子さまによくお似合いだ。

 愛子さまは新調を控えているが、日本の職人が皇室の宝冠と宝飾品一式を作ることができる最も近い機会は、愛子さまのティアラだ。

 高度でかつ繊細な技術を要する皇室のティアラは、日本の宝飾職人にとっても学ぶことが多く、次の世代の職人に技術を伝えるチャンスでもある。

 大倉さんは、どうか近い未来に愛子さまにもご自身のティアラを製作していただきたい、と願っている。

 愛子さまが母の皇后雅子さまと笑顔でソファに腰をかけて、お好きな意匠やデザインについて受注した工房や宝飾の企業と打ち合わせを進めるーー。そこには、天皇陛下も優しいまなざしで見つめていらっしゃる。そんな日が、巡ってくるかもしれない。

〉〉続きはコチラ「愛子さまのティアラ新調は、次世代へ技術を伝える最後の機会」腕飾りがティアラに「ブローチ」は帯留めに…皇室の宝冠を手掛ける工房の切なる願い

(AERA dot.編集部・永井貴子)

「アトリエマイエドール」のサロン。同社のブランド「大倉堂」などのジュエリーが並ぶサロンからは、工房で熟練の職人らが作業する光景を見ることができる=「アトリエマイエドール」提供
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