
AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:学生の頃から現在まで、夢や将来の目標というものがありません。同年代は目標に向かってキャリアを積み、結婚や出産などを経てさらに1ステージ上の生活をしている人もいます。一方で私は、毎日の仕事に追われているだけ。職場でも、自分のこれからの目標のために努力することが求められ、目指す場所がない私にとってはつらいものがあります。今さらですが、夢や目標はどうしたら見つかるのでしょうか。(女性/会社員/25歳/いて座)
A:すごくいい質問をありがとうございます。他にも共通する悩みを抱えている人がいると思います。
まず、夢や目標というものは、自分からどこかに出向いても出会えるものではない、というのが僕の持論です。これは結構大事な話です。
例えば、夢や目標は渋谷に行けば見つかるわけではないし、海外に行けば見つかるものでもありません。じゃあどうやって出会うかというと、「あ、この子面白そうだぞ」と噂を聞いて、夢や目標のほうからやってきて、こちらの扉をコンコンとノックしてくれる。これは僕が占い師として仕事をしてきた感覚から言えることです。
なので、夢や目標を持つ人というのは、夢や目標に見つかりやすい光り方をしている人、と言うこともできる。
ではどうしたら夢や目標にノックされる光り方をすることができるのか。キーワードは「美意識」や「プライド」です。
美意識は、自分なりに人としての美しさを追求する気持ちの中に宿るものです。例えば僕の中には、家電量販店などで値切りをしないという美意識があります。別に値切りが悪いわけではないんです。テクニックを使って自分だけ得をすることに、あまり労力をかけたくなくて、それなら頑張って働いて、買ったものを大事に使いたい。それが僕にとって自分なりのルールであり、美意識なんですよね。
「これは得をするかもしれないけど、かっこ悪いからやらない」みたいな自分の軸を持っている人、美しい人であろうと努力を重ねている人のところに、面白い出会いや、夢や目標はやってきます。
多数派が言うことがいつも正しいわけではないから、世の中の風潮に対して「うるさい」と言える自分も持つこと。相談者さんのように、周りが結婚や出産を経て先に進んでいるように見えて焦りを感じる気持ちはよくわかります。
でも、その焦りを感じる自分や周りの騒音に対して「うるさい、私は今これに命をかけて頑張ってるんだ」みたいなことを言えると、ノックされる確率が高くなると思います。ゲームでもパン作りでもいいと思います。それが美意識であり、その人にしか持てないプライドであれば。
いて座はその「うるさい」をちゃんと大きな声で言える人です。ただ、そこに覚醒するまで、自分が美しいと思うことを追求していくまでに、殻を破れないこともある。まずは小さく自分の中で「うるさい」を言い続ける毎日を重ねてみてください。
※AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号

