大きなケンカが何度かあり、最後はぶつかることが怖くなって、言葉ひとつにもすごく気を使うようになっていました。お互いに疲れてしまい、リセットする選択をしました。
昭和生まれの私たち世代は、女性が学歴や職歴、収入も男性と同じものを手にできる時代を生きてきたのに、出産すると急に「夫が稼いで、妻は子育て」という価値観にしばられてしまう。私も男女平等でありたいと思いながら、家事代行を頼む時に「自分がやるべきことなのに」と罪悪感がありました。彼も私も専業主婦家庭で育ち、そこでインストールされた価値観と理想との間でもがいていました。
今も彼が大好きで、人として尊敬する気持ちは変わりません。週末には息子と遊んでくれますし、よい関係になったと思います。ただ、家庭に本当の男女平等が来る日はあるのでしょうか。その答えはわからないままです。
(構成/編集部・古田真梨子)
※AERA 2022年10月31日号