「その頃の私は、大学院への進学を考えつつ『さすがに無理だろう』とあきらめていました。でも、4人の子連れで海外留学することに比べたら……。私は3人の子育てをしながら日本の大学院。どう考えても難易度、低いじゃないですか。そこで大学院への進学を決めました」

 学習効果を調べるマウスの実験でも、やる気のないマウスの元にやる気のあるマウスが1匹でも2匹でも入ってくると、集団全体の学習意欲が高まることが証明されているそうだ。

「一歩踏み出すために、自分と似た年代、家族構成の『やる気のある人たち』と交流することが大事です。現状維持志向の同僚や上司と家族だけがメインの人間関係に浸かっていると、いつまで経っても今のままです」

 自らの市場価値を意識するには、まず自分と似た“前向きな他人”との出会いが必要というわけだ。勝間さんが主宰するオンラインサロン「勝間塾」でも新たな出会いに触発されて動き始める人が多い。今や、いつ会社を辞めてもいいほどの副収入を得るようになった人もいる。

「世の中にはすべてが平均点という人はどこにもいません。みんな、でこぼこがあって、自分では普通だと思っている部分に実は大きな市場価値があることも珍しくありません。でも自分の価値がどこにあるか、自分自身ではわからない。『自分では努力したつもりはないのに、不思議と周囲の人からほめられること』が自分にはないかを探してみてください。なぜか他人からほめられる=あなたの長所です。それを何か副業で生かせないか、考えてみましょう」

 仕事なんて何千種類もあるのだから、今の会社の仕事に固執しなくていい。

「ブログやSNSで発信するのが手軽ですが、文字を書くことが嫌いなら動画で誰かにモノを教えるのはどうだろう? 趣味で続けていて、やけに詳しくなっている分野はないか? 人によってバラバラです。まず、やってみる。合わないなと思ったら、違うことに挑戦。楽しみながらやってほしい」

(ジャーナリスト・安住拓哉、編集部・中島晶子)

AERA 2021年12月27日号より抜粋