「ベルサイユのばら」オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ (c)田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会
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 透徹した意志で自由と愛にむかって、まっすぐに生きるオスカル。声優・沢城みゆきさんがオスカルの魅力を語った。AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号より。

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 オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ。18世紀、貴族で将軍の末娘ながら「息子」として育てられ、王妃マリー・アントワネットの護衛を務める男装の麗人。そしてフランス革命へと向かう激動のなか、自らの信念に従い、その命を散らす。

池田理代子原作の「ベルサイユのばら」のヒロインとして登場して半世紀、「オスカル様」という呼び名でいまも人々を魅了する彼女は、池田によって生み出された架空のキャラクターだ。オスカルを演じた声優・沢城みゆきは言う。

「タイトルはもちろん知っていましたが、実は漫画やアニメをしっかり観たことはなくて。昨今で言うと、LINEスタンプで送られてくるキャラクター、みたいな(笑)。今回はその人物像を最初からおさらいしていくような感じでした」

 女として生まれながら男として生き、男性に恋をする心を持つオスカル。平民アンドレに心を寄せ、思想家ジャン=ジャック・ルソーの『社会契約論』で自由と平等、友愛に目覚めていく。その複雑な内面を表現することは、彼女の喜怒哀楽の深いところに同化していく作業だったという。

「1979年のテレビアニメ版で田島令子さんが演じられたオスカルは尊くて美しくて完璧なイメージ。でも原作のオスカルはもっとあけすけというか、ケンカっ早いし、なんならべらんめえ口調のようなところもある。今回は“等身大のオスカル”をいかに香らせることができるか、が自分の仕事でした」

 その人間味がいまの時代に共感を呼ぶ。

「本作のベースにあるのは『誰もが自由に、よりよく生きていくってなんだろう』という問い。それは人間である限り人が持ち続ける問いでもある。だからこそこの物語は、廃れないのだと思います」

(フリーランス記者・中村千晶)

AERA 2024年12月30日-2025年1月6日合併号より

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