写真家・小野啓が、自らの視点で選んだアイドルたちを活写。「あえて笑顔を撮影しない」というスタンスで、アイドルたちのリアルを写し撮る。

使用機材:ペンタックス67II、マミヤ7II・90mmF2.8、80mmF4L・フジPRO400H

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ramy t talata(校庭カメラギャル)

ramy t talata (C)小野啓
ramy t talata (C)小野啓
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【本人からのコメント】

――校庭カメラガールに入ったきっかけなどを教えてください。

 きっかけはしゅがしゅららちゃんでした。実は活動をはじめる前からちょっとした知り合いだったのですが、彼女のお誘いがあって私はこの世界に飛び込んできました。最初声をかけられたとき自分はやる気はなく、友達にアイドル志望の子がいたのでその子を紹介するつもりで話を聞いていました。ですが途中からだんだん自分が興味を惹かれていきました。何をやっても本気で頑張ることができない、そんな自分が嫌いで、そんな自分を変えたいと思い、加入を決意しました。

 実は校庭カメラガールになる前はぱたちゃん(pataco&pataco)とほんの少しだけ校庭カメラギャルとして活動していました。そのまま校庭カメラガールに加入させていただくことになり、校庭カメラギャルはなくなったと思いきや、しばらくしてから正式に校庭カメラギャルを作るという話を聞きました。オーディションをして、メンバーもそろそろ決まったのかな? と思った頃、突然グループ移動が決まりました。きっかけ……は正直記憶が曖昧であまり覚えていません。でもとてもびっくりしたのは覚えています。気づいたらもう校庭カメラギャルになっていました。

――アイドル活動をする前にやっていたことはなんですか?

 活動をはじめるまでは生活のためにひたすらバイトして、休みの日は趣味に時間を使ったり友だちと遊んだりの繰り返しでした。毎日楽しく過ごしていて、当時は「正直このまま自由に好きなことやって30~40代くらいでポックリ死にて~」と思っていましたが、心の片隅では本当にこのままでいいのかな、という思いもありました。就職もしていなければ学生でもなく、夢も資格も何もない中身が空っぽの人間でした。

 私の中でアイドルはいつも笑顔でかわいくって、キラキラしてて、大きなパワーを秘めていて……そのパワーでみーんな笑顔に変えちゃう魔法使いみたいな存在でした。でも校庭カメラギャルはアイドルとは言われているもののキラキラ……というよりはギラギラしている感じで、歌わないし決まった振りもないし、オタ芸打てないし、アイドルさんがよくやるおい!おい! って煽りはしないし、オタクディスるし、でびっくりするほどアイドルらしさはありません(笑)。正直戸惑いもありましたが、これまで誰もやったことがないスタイルに挑戦できるのはありがたいことであり、楽しみでもあるなと今は思っています。

――ラップは難しいですか?

 最初のうちはまともにラップを聴いたことがなく、練習してもラップなのに歌ってるみたいと言われて、でもまずラップがどういうものか分かってないから言われても分からなくて迷走して、次に感情をのせると少しやりやすいかもと気づいてからは逆にセリフ臭くなりすぎて迷走して、その後また歌に戻ってると言われて迷走して……はじめてから今の自分のフロウになるまでとにかく迷走しまくりでした。いまでもまだ成長過程だと思います。だいたいのアイドルさんは振りがあって、それを事前にグループで集まって練習して、ほぼ完成された状態でステージに挑むと思いますが、校庭カメラギャルは振りがないのでライブで初めてふたりが共演し、お互いがリリックやリズムに合わせて自由に動き、声を重ねます。ダンスや演技経験ゼロで運動神経もよくない自分にとって、『自由に動いてみて』と言われるのが1番難しいことだと思います。

 数々のラッパーさんは堂々としていて動きがかっこいいですが、いざ自分が同じように動いてみると、自分が思っている以上に動けていなくて、しかもステージに立つと自信が無くなって練習以上に動けなくて最初は絶望でした。でも自由に動けるってことは逆に自分次第ではかなりいい武器になりますし、まだまだこの武器は使いこなせていませんが、音に合わせて自由に動いて、それがはまったときは心から楽しいです。

――今後の活動の目標、目指すところなどを、グループとして、個人としてそれぞれ教えてください。

 まずは校庭カメラギャルに興味を持ってもらえるように、一つひとつのライブを大切に、確実にいいものにしていくこと。それと校庭カメラギャルとしてまだ1枚もCD、アルバムなどがないので、そのリリースです。

 個人としてはファッションにこだわりがあるので、ファッション関係のお仕事ができたらなと思っています。

【校庭カメラギャル・プロフィール】
2014年12月に活動を開始した校庭カメラガールに15年から参加したpataco&pataco(ぱたこあんどぱたこ)とramy t talata(らみたたらった)のふたりが新たなユニットを結成し、16年2月より校庭カメラギャルとして始動。姉妹グループの校庭カメラガール(現在は校庭カメラガールツバイとして活動)はHIPHOPではないラップグループを標榜しているが、校庭カメラギャルのほうはHIPHOPユニットとの位置づけ。ステージ上を自由に動き回りながら奔放に放たれるラップが魅力。

【ライブ・イベント情報】
●8月21日(日)
新宿SAMURAI(東京都新宿区歌舞伎町2-42-16)
くり子生誕『くり子とみんなの夏休み』
出演:黒の憂鬱/arrival art/里咲りさ/クマリデパート/校庭カメラギャル
17:00開場

公式サイト(tapestok records):http://tapestokrecords.com/

おの けい:1977年京都府出身。2002年より日本全国の高校生のポートレートを撮り続けている。写真集『青い光』で注目され、集大成となる『NEW TEXT』で「写真の会」賞受賞。『桐島、部活やめるってよ」(朝井リョウ)、『アンダスタンド・メイビー』(島本理生)など装丁写真も手がける。『うたうとは小さないのちひろいあげ』(村上しいこ)の表紙にはBELLRING少女ハートのメンバー、甘楽をモデルとして撮影した写真が使用された。また、2016年3月23日発売予定の乃木坂46の新曲「ハルジオンが咲く頃」のジャケット写真も手がけている。

受賞暦
03年、富士フォトサロン新人賞奨励賞
06年、第26回写真『ひとつぼ展』入選、ビジュアルアーツフォトアワード大賞
14年、写真の会賞

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