男の人から「結婚しよう」は無理
「男性との恋愛は、感覚が全然違う。パートナーとか、家族みたいな認識で、相手に彼女ができたと言われると『良かったね~』っていう気持ちになるんです。好きは好きでも、恋ではない。振り返ってみると、これまで一対一の恋愛は絶対に避けていたんですよね。元々、本当に女性が好きだったから、男の人から『結婚しよう』とか言われると無理になるんです」
つまり、「他にも彼女がいる男性」ということも、かな子さんなりの意味があったということだ。
「私は女の子が好きだから、自分が若い女性の立ち位置を楽しむというよりは、若い女性と付き合っている男性側の意識に自分を投影していたんだと思う。女の子を可愛がっている男性を羨ましく思ったりして、自分はそっち側になりたい。だから、周りに女の子がたくさんいる環境が良かった、というのに近い気がする」
そして、ようやく恋が実ったのが、元カノだったということだ。
男の子を育てていくうえで思うこと
その彼女とは半同棲していたらしいが、息子はその状況をどう理解していたのだろう。
「異様に仲のいいママの友達くらいに思っています。だけど、『女の人と家族になっても、男の人と家族になってもいいんだよ』って話もしていて、ふんわりにおわせているので、大きくなったらわかると思います」
早くも多様性を学んでいるということだ。
かな子さんの家庭教育はとても進んでおり、息子は小学生ながらにプライベートゾーンの意識もしっかり身につけていた。クラスの男子が女子の胸を触ったりしているのを見ると、注意する男の子に育っているという。
「男の子を育てていくうえで思うのは、ちゃんと女の子を大事にしろよっていうことですね。息子は、遺伝的なものなのか『強いことがカッコイイ』と思っていて、上手く表現できないながらに女性への関心も幼少期からあるんですよ。女性と接することって、男性にとっては難しいことなんだろうなって思うから、女性に嫌われて悲しむようなことにはなってほしくないですね」
こうして、健全な男子を育てるべく奮闘中なのである。
そして、かな子さんは、女性との恋愛も楽しもうとしている。
「いい恋がしたいです」
ため息をつくように出てきたその言葉に、私は生きる強さを感じた。
(構成・ノンフィクション作家 インベカヲリ☆)