
そうした男性たちを相手にしてきた母は、さぞ大変だったろうと思いきや、かな子さん曰く「ポジティブな不思議ちゃん」だそうで、天然パワーで上手く立ち回っていたらしい。
まさに、昭和の放蕩一家という感じだが、曽祖父、祖父、父を見ていたら、自然と男性に期待をしなくなるということはありえそうだ。
ちゃんと好きだったのは元カノぐらい
そんなかな子さんには、つい1年ほど前まで9歳下の彼女がいたという。私は、男性と付き合っているかな子さんしか知らなかったため、これは初めて聞く話だった。
「ちゃんと好きだったのは、その元カノぐらい。だって、本当に好きだったし、ずっと一緒にいたいし、結婚したいし、他人に取られたくないし、浮気とかされたら死ぬって思っていたから。彼女が海外留学するっていうから、その前にプロポーズしようと思って、2カ月前からリゾートホテルを予約して、フラッシュモブのやり方とか調べて、結婚指輪をどうするかとか考えていたんですよ。めっちゃルンルンしてたけど、だんだん雲行きが怪しくなってきて、結局、別れてしまいました」
元カノにはいろんな思いがあったらしく、2人のエピソードを話し出すと止まらなかった。かな子さんは、どんな結婚生活を思い描いていたのだろう。
「海外旅行とかにたくさん行って、老後はちょっとした田舎に引っ越して、大きな庭のある家に住んで、大きなベッドを買って、彼女と大型犬と寝て、庭でアヒルとかも飼いたいなって思っていました。その前に、まずは2人でウェディングドレスを着て結婚式をしたかったですね」
人生は自分のものだから
聞けば、初恋も女性だという。初めから、女性が好きだったということだ。
「私は、男性だとか女性だとかいうことを特に気にしていなくて、『女の子は可愛いから皆も好きだよね』っていう感覚です。ナチュラルな感情だから、レズである誇りとかも特にないし、『レズっていう言葉は差別だからレズビアンと言うべき』という人がいることもよくわからない。人生は自分のものだから、好きなように生きるのが当たり前だし、自分の好きなものを我慢したり悩んだりする意味がわからないです」
そうキッパリ言うかな子さんに、「好きに生きる」という家系の歴史を感じた。そして、こんなことも言う。
「男性から性的な目で見られる気持ち悪さは、経験上知っているから、自分が女性に対してそうならないよう気を付けようとは思っています」
やはり、かな子さんからは、どこか男性的な視点を感じる。しかし、そんなかな子さんも、子どもを産む前は男性と恋愛をしていた。しかも、その男性たちは「若い彼女がたくさんいるおじさん」という共通点があった。