もしこの試みが成功すると、任天堂はこれまで持っていなかった物凄い力を手に入れることになる。それは、任天堂と組んだ店舗に消費者が動く、つまり任天堂は消費者を自在に動かし、小売店や飲食店に大量に集客できるようになるという広告集客力だ。
日本マクドナルドとの提携が終わったら、次に別の企業が手を挙げることになるだろう。そしてどこが手を挙げても、その企業は圧倒的な集客力を手にいれることになる。
イオンとイトーヨーカドーのどちらが任天堂と手を組むか?居酒屋のモンテローザとワタミのどちらが任天堂と手を組むか?
もしポケストップに設定されている美容室とそうでない美容室が存在したら消費者はどちらに行くのか?もし消費者が外食の目的地をグーグル検索や食べログ検索の代わりにポケモンで検索するように行動が変わったら?
集客広告という観点で言えば、任天堂は別に提携を一社に限る必要はない。契約は1週間区切りで、同時に何十種類、ないしは何百種類の集客広告枠を任天堂が設定して、その契約に応じてレア度の大きいモンスターをさまざまな業態の店舗に配信するなど、広告商品としての販売形態や広告の価格表はいくらでも拡充することができる。
グーグルと同じようにポケモンの種類と出現率を数円~数十円のキーワード広告で販売するビジネスモデルすら、構築可能だろう。
そうなると今後、インターネットで配信される広告はどうなるだろう?ファミレスのクーポン広告は?ホットペッパーやぐるなびなどの集客メディアはどう打撃を受けるのか?イオンやセブン-イレブンのテレビ広告はどうなるのだろうか?
これはひとことでいえば「集客広告市場に出現した最強企業」としての任天堂の新たなる脅威である。既存の集客広告市場に、任天堂が参入する。
そのことにメディア業界の人々が震撼するのは、これからもうまもなくのことである。