7月22日、いよいよ待ちに待ったポケモンGOの日本での配信が始まった。先行する米国では大ブームが巻き起こり「スマホユーザーの行動が変わる」とまで報道される過熱ぶり。任天堂の株価もポケモンGOのニュースに伴い高騰しているのだが、ポケモンGOで何が変わるのだろうか?
●任天堂は「ぱっとしない企業」から一気に「急成長企業」へ大逆転
ポケモンGOは任天堂のスマホゲームなのだが、特徴は3つある。ひとつはこれが任天堂の初めてといっていい大型のソーシャルネットワークゲームであるということ。2番目に実際に街中に出かけてそこでポケモンをゲットするというゲームの仕組み。3番目にそのための「ポケストップ(ポケモンをゲットする場所)」と「ジム(自分が所属してそこでポケモンを育てたり対戦したりする場所)」が街中に設置されているというビジネスモデル。
この3つのキーワードを分析すると、任天堂という企業の価値がポケモンGOで激変する可能性がある。それはどういう意味なのだろうか?
そもそも任天堂が落ち込んだ理由は何だったのかを整理してみよう。任天堂の株価はこの10年間ぱっとしなかった。リーマンショック直前につけた7万円台をピークに下降をつづけ、アベノミクスでの日本株上昇からも取り残され、ここ1年では1万円台と2万円台の間をいったりきたりという低迷状況だった。
理由は任天堂のビジネスモデルである、ゲーム機を普及させ、それをベースにそこで販売されるサードパーティを含めたゲームのライセンス収入で儲けるやり方が、スマホの普及で時代遅れになったことだ。
いつの間にか世の中はわざわざ専用のゲーム機をつかわなくてもスマホでゲームができる時代になった。任天堂に都合が悪いことに、スマホは初期設定ですべてネットワークにつながっているから、ゲームの主流はオンライン上で仲間と共闘したり戦ったりつながったりできるソーシャルゲームに移って行った。
この流れから取り残されたということで、任天堂は「世の中から取り残された企業だ」というレッテルを貼られてしまったのだ。
さて、そこでポケモンGOの出現である。任天堂は実はハードで世の中を支配してきただけではなく、ポケモンとマリオという非常に強いコンテンツを持っている企業でもある。