
兵庫県知事への態度豹変に反発の声
さらに、兵庫県の斎藤知事の疑惑をめぐる吉村氏の発言についても、批判の声がある。
吉村氏は、内部告発された疑惑によって斎藤氏に対する批判が噴き出ていたときには、斎藤氏の辞職を求める発言をしていた。だが、斎藤氏が失職後に臨んだ11月の知事選で再選を果たし、知事に返り咲くと、態度を一変。
「すごいですね。脱帽です」
という内容のお祝いメールを斎藤氏に送信したことを明らかにし、11月21日の関西広域連合で斎藤知事と顔を合わせると、駆け寄ってがっちり握手を交わした。
そして11月24日、地域組織の「兵庫維新の会」の会合で、吉村氏は、県議会全会一致の不信任決議で失職した斎藤氏が再選されたことについて、
「県民から見れば、これは議会に対する不信任と同じ。責任をとって自ら解散することは一つの選択肢だ」
という趣旨を伝え、県議会に自主解散も含めた対応を検討するよう求めたことを明らかにした。
この時点で、吉村氏は日本維新の会の代表ではなかったこともあり、兵庫維新の会の地方議員からは、こんな反発の声を聞いた。
「正直、大阪府知事の吉村氏がなぜ兵庫県議会にまで口出しするのか不思議でした。吉村氏自身も斎藤知事に『辞めるべき』と迫っていたのに、斎藤知事が当選したら、今度は県議会に不信任決議を出した責任があるという。大阪の知事には何の関係もない。支持が低迷するので話題作りなのか。ご都合主義だ」
結局、兵庫県の維新県議団は12月3日、吉村氏から提案された「自主解散」を県議会に提案せず、見送ることを決めた。
維新で、圧倒的な知名度と発信力がある吉村氏は「最後の切り札」といわれる。それゆえ方針に多少の不満はあっても、党勢にかげりが出るなか、代表として党をまとめられるのは吉村氏しかいない、というのが維新内部の多くの見方なのだ。