任天堂が発売したスマホ向けゲーム「ポケモンGO」が米国で大ヒットしている。勝因は同社の「持たない強み」にある(※イメージ)
任天堂が発売したスマホ向けゲーム「ポケモンGO」が米国で大ヒットしている。勝因は同社の「持たない強み」にある(※イメージ)
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●「ポケモンGO」大ヒットのなぜ 任天堂の「持たざる強み」とは?

 初のスマホ向けゲーム「Miitomo」をDeNAと共同開発した任天堂だが、この度それに続いて「Pokemon Go」(以下、「ポケモンGO」と記述)をリリースした。Googleから独立し、Ingressといういわゆる「位置ゲー」(GPSにより現在地を登録することで遊ぶゲーム)をヒットさせたナイアンティックと組んだゲームだ。

 この「ポケモンGO」が予想以上に注目されている。公開数日にして米国で大ヒットとなり、任天堂の株価もうなぎ登りに上がった。

 筆者は以前、他メディアへの寄稿で「『持たない強み』が任天堂の強さの神髄」であると述べた(日経ビジネスオンライン「任天堂とDeNA、提携の成否を握る『持たない強み』」)。「ポケモンGO」のヒットについても、ポケモンという強いIPを持っていると同時に、「持たない強み」が冴えたのではないかと考える。

 任天堂はゲームコンテンツを開発するメーカーであると同時に、ゲーム機というゲームのプラットフォームも提供している会社である。Wii Uや3DSなど、コンソール(据え置き型ゲーム機)、ポータブルゲーム機の双方を自社のプラットフォームとして有している。

 こうした自社の技術資産がある場合、特に「技術による差異化が全て」と思いがちな日本企業ほど、自社のプラットフォームにしがみつく傾向がある。ソニーが良い例であろう。

 ソニーは、初代PS(プレイステーション)、PS2のグラフィック技術で、顧客に驚きの映像というゲームの新しい価値を提供した成功体験と技術蓄積を持っていた。しかし、グラフィック性能という軸での価値の進化に顧客は飽きを感じ始め、PS3は戦艦大和の大艦巨砲主義のような超ハイスペックメカになってしまった。そのためソフトウエアメーカーが離れ、エンドユーザーも離れた。

 その後同社はPS4で自前主義を捨て、汎用のアーキテクチャをベースにハードウエアを開発。ソフトウエアメーカーにとっての開発のしやすさとコンソールとしての性能のバランスを取り、欧米を中心にソニーの大きな収益源となるビジネスに成長させた。

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