意外なところで、巧みな演技に唸ったのは、「見取り図・盛山晋太郎」だという。
「意外なところでは『グレイトギフト』に病理医・伊集院薫役で出演していた見取り図の盛山晋太郎さん。残念ながら第2話で退場してしまいましたが、同話の終盤、地下駐車場で1カットの長ゼリフをものともせず、主演の反町隆史とほぼ互角に渡り合っていたシーンは印象に残っています」(中村氏)
「朝ドラ」にすんなり馴染んだ2人からも目が離せないという。
「厳密には今期、冬スタートでありませんが『ブギウギ』に出演しているメッセンジャー・黒田有と友近も気になりました。
黒田は村山興業の東京支社長・坂口役として最初はスズ子(趣里)と愛助(水上恒司)を別れさせようとするも、やがて二人を応援するという人情味のある役どころを魅力的に演じています。
また、スズ子を見守る看護師役の友近は、本作で朝ドラ出演3作目と、もはや常連の域。普段からドラマなのかコントなのか見ている方がわからなくなるシュールで不可思議なネタを得意としているだけあって、朝ドラの世界に違和感なく存在しているのが逆に面白くもあり、興味深いです」
芸人の起用はますます進む
ラリー遠田氏はこう話す。
「コントなどの経験があり、演技力の高い芸人は多い。ドラマの世界観を壊す心配もないので、芸人を起用する動きはますます進んでいくでしょう」
中村裕一氏も、ドラマには芸人が欠かせないものになっていくと分析する。
「“ドラマ芸人”の起用の傾向はこれからも続いていくと思います。というのも、ドラマの本数はBSやCS、配信系を含めると、20、30年前に比べて飛躍的に増えているのです。さまざまなドラマを制作するうえで、強烈なキャラクターを持った芸人はますます重要な存在になっていくに違いありません」
“ドラマ芸人”から、どんな演技派俳優が飛び出すのか。今後も目が離せない。
(AERA dot.編集部・太田裕子)