決勝で敗れ、うつむく井端監督(右端)ら日本代表
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 国際試合で頂点に立つ難しさを痛感させられた。プレミア12で大会連覇を目指した侍ジャパンだが、決勝で台湾に0-4で完封負け。この大会で台湾とは3度目の対戦で、ここまで連勝していた日本だが、最後の大一番で敗れた。19年の前回大会以来、国際大会で続いていた侍ジャパンの連勝も27でストップした。

【写真】「優勝おめでとう」の声出しで批判を浴びた辰己涼介

 村上宗隆ヤクルト)、近藤健介(ソフトバンク)が故障で選出できず、岡本和真巨人)も腰痛で出場辞退した。投手陣も伊藤大海(日本ハム)が右足捻挫で出場辞退するなどベストメンバーでなかったが、それは敗戦の言い訳にならない。台湾も主力選手の数名がケガやコンディション不良で大会メンバーから外れている。侍ジャパン打線が4安打に抑え込まれたのに対し、台湾は11安打。試合内容も完敗だった。

 スポーツ紙デスクはこう振り返る。

「このメンバーでも十分に優勝を狙えました。実際に個々の能力、チームの完成度で言えば、侍ジャパンは大会参加国の中で抜きん出ていた。なぜ負けたか。精神論になりますが、この一戦にかけていた台湾に比べ、侍ジャパンは緩い空気に見えました。普段通りといえば言葉はいいかもしれませんが、慢心があったと指摘されても仕方ない。実際には慢心はなくても、そう映ってしまう隙があった。WBCや五輪の決勝戦だったら試合前にあんな円陣で始まらないでしょう」

 あんな円陣……敗戦後に批判を浴びたのは、試合前に円陣を組んだときの辰己涼介(楽天)の声出しだった。指名された辰己はこう言った。

試合前に「優勝おめでとう」

「どうも、未来から来ました。未来といったら、今日の夜の12時ぐらいから来たんですけど。もう、答え言っていいですか? 優勝しています。なので、道中に先制されようが、逆転されようが、気にしなくて大丈夫です。焦ることなく、自分が出せる力をみなさんが出し切って下さい。優勝おめでとう。それでは行きます。さあ、行こう!」

 選手たちからどっと笑いが起きる円陣だった。緊張をほぐそうという狙いがあったのかもしれない。試合が劣勢の展開になっても浮足立つことなく戦おうというメッセージも込められていた。この円陣はテレビ中継でも放送されたが、試合に勝っていたらクローズアップされなかっただろう。

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