そのうえで、オンライン会議で皆に発言してほしいのであれば、全員顔出しをルールにするのもありだと西任さんは言う。
「面白いもので、指名されるとみんなしゃべるんですね。対面では声の大きな人の意見が通りがちだったのが、オンラインになったからこそ、声の小さい、自分からは手を挙げない人の意見が聞きやすい環境が整ったとも言えます。ファシリテーターのさじ加減一つで、チームとして多様性をより発揮できる可能性も大いにあると思います」
とはいえ、悩ましいことはまだある。東京都の会社員の女性(40)は、「言い出しがかぶってしまったり、間の取り方が対面に比べると難しい。でも、『相手が話し終わってから話しだそう』『多少かぶってもいいじゃない』というニューノーマルが生まれ始めている気もします」と話す。西任さんも言う。
「話がかぶったら、同じタイミングで呼吸して話し始めたその人と『気が合った』と捉えることもできます。あるいはファシリテーターの方が会議冒頭に、『オンラインはどうしても発言がかぶりがちですよね。きょうはそんな気の合った人がいたら、髪の毛が長い人から先に話すようにしましょうか』と提案するとか(笑)。ネガティブに考えず、ルールを作って楽しんでしまうのはいかがでしょう」
ただオンライン会議でもやはり、「相づちに意識的になる」のは大事だと西任さんは話す。
「たとえば相手の話に興味を持ったとき、『そうなんですか』と言いながら画面に向かって少し前に出る。すると相手に、『興味を持ってくれている』と伝わります。でもそのためには、自分がいまどれくらいのサイズで画面に映っているかなど、相手にどう見えているかに意識的でありたい。コミュニケーションは、『どれだけ意識的であるか』が、うまくいくかどうかの分かれ目です」
(編集部・小長光哲郎)
※AERA 2024年12月2日号より抜粋
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