セ・リーグの野手でもう1人注目したいのが沢井廉(ヤクルト)だ。中京大では全国大会の出場こそなかったものの、愛知大学リーグで注目を集めて一昨年のドラフト3位で入団。ルーキーイヤーには二軍で18本塁打を放ち、イースタン・リーグのホームラン王にも輝いている。シーズンオフのフェニックスリーグで右膝を負傷したこともあって今年は出遅れたものの、夏場以降は調子を上げて二軍では55試合で7本塁打を記録し、9月8日の阪神戦では一軍でプロ初ホームランも放っている。

 上半身も下半身もよく鍛えられた体格で、豪快なフルスイングで逆方向にも大きな当たりを放つことができる。一軍レベルの投手にはまだ結果を残せておらず、変化球への対応には課題が残るものの、その長打力はチームの若手ではトップクラスである。ヤクルトの外野は青木宣親、山崎晃大朗の2人が今シーズン限りで引退し、また主砲の村上宗隆も来シーズンオフのメジャー移籍が有力視されているだけに沢井にかかる期待は大きい。来季は外野のレギュラー争いに加わり、一軍でも豪快な打撃を見せてくれることを期待したい。

 パ・リーグの野手で期待したいのが来年4年目となる安田悠馬(楽天)だ。愛知大学時代は二部でのプレーが多かったものの、長打力が評価されて2021年のドラフト2位で入団。ルーキーイヤーにはいきなり開幕戦でスタメンマスクを任せられた。しかしその後は守備面の課題もあってなかなか一軍定着を果たせずにいる。

 それでも二軍では今シーズンも出塁率.383で最高出塁率のタイトルを獲得し、一軍でも自己最多となる32安打を放つなど打撃面では既に一軍レベルにあることは間違いない。チームは捕手が少ないにもかかわらず、ドラフトで指名しなかったことを考えても安田にかかる期待の大きさがうかがえる。打てる捕手が確立できればチームにとって大きなプラスだけに、来年こそはレギュラー獲得を目指してもらいたい。(文・西尾典文)

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
 

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