専門家「現代の大学生たちは、自分のやりたいことに対して貪欲」

こうした動きについて、働き方評論家で千葉商科大准教授の常見陽平氏は、

「休学の中には、戦略的に休学する人だけではなく、経済的な理由などからせざるを得ない人もいます」と前置きしたうえで、「大学像の変化が進んでいる証拠」と分析する。

「実は、戦略的休学の動きは00年代からありました。起業や留学、趣味への没頭などという理由自体は、今とさほど変化はないと思います。ただ、その時代の大学生活は「自由にできる時間」が肌感覚として今より多くあったのに対して、今の学生たちは、早ければ2年生の秋や3年生の春からは就活がスタートしています。就活が超早期化している時代にあって、昔より「学生生活」の期間が短くなっていることは要因の一つだといえます」(常見氏)

 さらに、常見氏は、現代の大学生が「やりたいこと」に対して貪欲であると指摘する。

「従来は、大学をストレートで卒業し、そのまますぐ就職して定年までいる、といった人生の描き方ができていました。しかし、現代では就職先はあくまで「最初の1社」で「石の上にも“半年”」と考える学生もいて、やりたいことや優先することが個々で異なる時代です。そのなかで大学生たちが、「今、学生のときにやるべきこと」を考えて行動している結果だと思います。さまざまな不安が若者を取り巻くなかで、大学生活を楽しみつくすにはどうしたらいいのかを学生たちが真剣に考えているのだと思います」

 こうした学生を採用する企業側はどんな考えなのだろうか。

「休学や留年は、企業人事でマイナスにはたらくことはなく、むしろプラスにとらえる企業も多いだろう」と常見氏はみる。

「企業人事が見ているのは、学生時代に「何をやっていたのか」「なぜその選択をしたのか」の部分です。今の時代、休学や留年に対してマイナスのイメージをもち、落とそうとする企業はないと思います。(休学は)学生たちが自信をもって自分の人生を選んでいる証拠だと思うので、いろいろな生き方をどんどん考えてほしいと思います」

 就活の早期化とともに大きく変化する大学生活。入学時は一緒でも、出る時期はバラバラというのが当たり前になるのかもしれない。(AERAdot.編集部・小山歩)

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