「ゆくゆくは移住も」
各地で人口減少が進むなか、移住・定住の促進は多くの自治体が共通して目指す課題だ。自治体側の親子ワーケーション受け入れには、「ゆくゆくは移住も」という狙いがある。もちろん、親子ワーケーションでの滞在が直接移住につながるケースは多くないだろう。それでも一度足を運び、再訪するきっかけには十分なり得る。私たち家族が福井を訪れたのは長男が恐竜好きで福井が「恐竜王国」だったことが大きいが、比較的長期で滞在したのは受け入れのための仕組みが整備されていたからだ。そして、子どもは「また行きたい」と話し、私たちもいい時間を過ごすことができた。地域の魅力も存分に感じられたことから再訪も具体的に考えている。移住することは今のところなさそうだが、定期的に通う地域になるかもしれない。
前出の今村さんもこう話す。
「私たちがサポートする親子ワーケーションの事例では、再訪率6割というケースもありました。私自身、和歌山や知床、鳥取など親子ワーケーションをきっかけに何度も通う地域がいくつかあります。普通の旅行より地域と深くかかわる親子ワーケーションは関係人口の創出に大いに寄与するし、それが地域の維持にもつながっていくはずだと感じます」
親子ワーケーションは、働く世代にとっても、子どもたちにとっても、そして地域にとっても、ウィン−ウィン−ウィンの可能性を秘めている。(編集部・川口穣)
※AERA 2024年11月25日号