予約が埋まるうれしさ「麻薬みたい」
「出勤日の1週間前から予約開始なんですけど、深夜0時になった瞬間に予約がバーッと入って、30秒で全枠が埋まったりするんですよ。それがうれしくて、麻薬みたいでした」
日葵さんは、プライベートでも男性にモテてきたタイプに見える。そうしたことは自信につながらないのだろうか。
「モテることイコール、自己肯定感とはならないですね。風俗だと、好意を向けてもらうことも仕事のひとつだから、成果になるという意味で気持ちが違います」
それは、他の仕事では得られないものだという。
「福祉の仕事の成果は、数字で見えない。風俗は、自分の成果がわかりやすく数字で表れるから、そこに中毒性があるんです」
夫との関係と達成感は別
それほどやりがいのある風俗をやめたのは、夫との関係を壊したくない気持ちがあったからだ。
「夫には申し訳ないと思う。でも、中毒性とお金の不安、いろんな要素が重なると気持ちが傾く。夫との関係は良好だけど、数字による達成感はまた別なんですね。今は風俗をやめて扶養内で昼職をやっているんですけど、本当はもっとバリキャリみたいに働きたい。けど働けないもどかしさやコンプレックスを、数字による達成感が癒やしてくれる面があるのかも。やめようやめようとは思っているけど、こういう話をしていると、また働きたくなっちゃう」
日葵さんは、困ったように笑った。
女性の貧困や性的搾取の構造など、風俗を取り巻く問題はさまざまに語られるが、働く女性の心情は複雑に絡み合っているのだということを改めて感じた。
(ノンフィクション作家・インベカヲリ☆)