山開き・海開き・川開きが行われる7月1日、暑さも本格的になってくる"小暑(しょうしょ)"の7月7日頃、そしてもっとも暑さが極まる"大暑(たいしょ)"の7月22日頃。そんな夏真っ盛りの7月には、あちこちの神社で夏祭りも行われ、御神輿を担ぐ威勢のいい"ワッショイ"というかけ声も耳に届いてきます。
書籍『日本の暦と生きるていねいな暮らし』によれば、この"ワッショイ"という言葉は、日本人が大切にする和みの心である"和"を背負うところからきているそう。和を背負う=ワッショイと変化したといわれているのだそうです。
元々、日本のお祭りの起源は、季節の巡りと農作業の区切りに基づいて行われた神祭り。神様への感謝や祈願がもとになっており、春には豊作を祈る春祭り、秋には収穫に感謝を捧げる秋祭りが。そして夏祭りは、旧暦6月(現在の7月)に行われるものであり、その始まりは、梅雨明けの高温多湿の時期に流行りやすい疫病の退散を祈願するものだったといいます。
「お祭りは別名『神遊び』ともいわれるように、お祭りの間、神様は御神輿に乗って大いに楽しみ遊ばれています。神様を乗せたまま、御神輿は町内を練り歩いているのです」(本書より)
本書では、日本に古くから伝わるしきたりや神事、季節の行事に注目。知られざる由来やその意味についてわかりやすく解説してくれます。
たとえば、3月3日は、五節句のひとつ"上巳(じょうし)の節句"。別名、ひな祭りや桃の節句といわれるお祭りです。ひな祭りといえば、太陽に見立てた桃の花と、月にたとえた白酒。そして清浄を意味する白色、邪気を祓うヨモギの緑色、魔除けを意味する紅色の3色からできている菱餅ですが、これは「雪(白色)が溶けて、草木(緑色)が芽生えて、花(紅色)が咲くまでの姿」(本書より)をあらわしているのだといいます。
「ひな祭りに登場するさまざまなモチーフは、何重にも白・緑・紅の三色を使っていくことで、春の訪れを祝い、同時に穢れを祓う意味があったのです」(本書より)
意外と知らない、先人たちから受け継がれてきた季節の行事の由来。暦を意識し、その意味するところを知れば、日々の暮らしのなかで季節を敏感に感じとる手助けとなるかもしれません。