送り、そしていつかは送られて。誰もが一度は「当事者」となるお葬式。立派な祭壇で豪華に、というケースは少数派になりつつある(写真:Getty Images)
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 お葬式を家族葬などの形で身内のみで済ませる「簡素化」の流れが止まらない。一方で「少人数で送るのは寂しい」という声も。葬儀のあるべき姿を考えてみた。AERA 2024年11月25日号より。

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「葬儀は近親者のみで執り行いました」──。

 一昔前は近所の人や会社関係者を含め、大勢の人が参列する光景も珍しくなかったお葬式。いつの頃からか、こういった「事後報告」で知人や友人の死を知ることが増えてきた。

 実際、参列者を広く招き通夜と葬儀を2日に分けて行う「一般葬」は減る傾向にある。代わって、参列者を近親者に限定する「家族葬」や、通夜は行わず葬儀と火葬を1日で行う「一日葬」、儀式を一切行わず火葬のみで弔う「直葬」が増え、「簡素化」が進んでいるのだ。

 2024年に行われたある調査では、葬儀の割合は家族葬が半分を占め、一般葬は約3割。残りの約2割が一日葬と直葬だ。

「従来のお葬式では遺族が参列者への対応に追われ、十分に悲しむこともできなかった。簡素化はいいことだと思います」

 こう話す神奈川県の60歳の女性は、一昨年3月に夫が急逝。親族5人の家族葬で見送った。

「コロナで火葬場の予約も難しく、夫には友人知人も多くなかったので、家族葬プラス一日葬で弔いました。家族はそれで精一杯。十分だったと思います」

残された人のため

 終活相談や葬儀の施行を手がける「葬儀を考えるNPO東京」の代表理事・高橋進さんも、年々進む簡素化の流れについては「大賛成です」と話す。

「葬儀業者はその流れに歯止めをかけたいでしょう。でももう『葬儀はお金をかけて』という時代ではない。大事なのは『残された側が』どういう気持ちで故人をお見送りしたいか、です」

 でも、故人にとってはいわば人生の締めくくりイベント。そもそもお葬式は、「亡くなった人のためにきちんとやってあげるべき」ではないのだろうか。

 しかし高橋さんは、「葬儀は『残された人のため』にウェートを置くべきでは」と話す。たとえば故人が生前、「葬儀はこういう式場で派手に」と望んでいたとしても、葬儀の形式を決めるのはあくまでも残された家族だと言い切る。

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