2024年の秋の園遊会で、愛子さまは最高の技術を持った職人の手による手描きの京友禅をお召し。母の雅子さまとは3つの「おそろい」の着物リンクコーデで臨んだ=2024年10月30日、赤坂御苑、JMPA
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 天皇、皇后両陛下の長女、愛子さまは12月1日、23歳の誕生日を迎えた。今春から社会人となり、単独での地方公務も経験された愛子さま。11月に2度目の「秋の園遊会」に参加された愛子さまは、第一礼装となる三つ紋の本振袖で臨んだ。紅花で染めたような淡い色合いの着物は、愛子さまの優しい雰囲気によくお似合いだった。皇后雅子さまと同様に「最高峰の京友禅」で臨んだ愛子さまは、余裕のある姿で園遊会の招待者と交流し、そんな愛子さまを雅子さまも振り返ることはなかった。そんなおふたりは、和装の「リンクコーデ」という絆でつながっていたようだ。

【写真】美しく高貴!愛子さまと雅子さまの京友禅 3つの「おそろい」

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 愛子さまは、相手の目線に合わせてかがみ、あるときはすこしジェスチャーをつけながら、にっこりとほほ笑んでいた。

 紅花で染めたような「一斤染(いっこんぞめ)」と呼ばれる、淡い色味に三つ紋の本振袖。未婚女性の第一礼装という格式の高い着物姿だ。

 愛子さまの着物の袖には、天皇ご一家である内廷皇族が用いる「十六葉八重表菊」の菊紋を見ることができる。

 京都市で京友禅の誂えを専門とし、著名人らの顧客も多い「京ごふく二十八」を営む原巨樹(はら・なおき)さんは、こう話す。

「いま、振袖に家紋を入れることは、ほとんどなくなりました。しかし、家紋を入れてしかるべき着物ということを思い出させてくれる、皇室の和装ならではのお姿です」

 愛子さまの帯の正面に咲いた、皇室の菊を連想させる「菊」の意匠も、品格を添えた。
 

愛子さまと雅子さまのひとつ目のおそろい、「舞楽菱(ぶがくびし)」のモチーフにした西陣織の帯。菱文に唐草などが織り出され舞楽の衣装に用いられる文様で、お母さまより大きな菱文様が若々しい印象=2024年10月30日、赤坂御苑、JMPA

愛子さまと「おそろい」の帯

 愛子さまが初めて参加した春の園遊会とは異なり、雅子さまが愛子さまに視線を送ることは、ほとんどなかった。それが「娘」への信頼と、おふたりの絆を感じさせる日だった。

 実は、おふたりの和装には、いくつかの「おそろい」があり、そこには皇后と内親王の「リンクコーデ」の絆を見ることができた、原さんは指摘する。

 まず、「おそろい」のひとつ目は、帯だ。

「おふたりとも締めていらっしゃるのは西陣織の帯で、舞楽菱(ぶがくびし)という共通のモチーフでそろえていらっしゃいます」

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愛子さまと雅子さま「おそろい」の「舞楽菱」の帯