私がクレーマーだと思われる理由
中嶋さんは「助けてもらって当たり前とは思っていない」と前置きした上で、こう話す。
「アメリカでは『できる人ができることを手伝えばいい』というムードがありましたが、日本では『事故でも起きたらどうしよう』と構えられてしまう。障害当事者も介助してもらうことを遠慮したり諦めたりする人が多いので、私みたいにサポートが必要な時にそれを口にする人は、クレーマーという印象を持たれるのかなと思います」
だが、信念をもって一石を投じたことで、「映画館が変わる未来」は近づきつつあるようだ。イオンシネマを運営するイオンエンターテイメントの広報責任者はAERA dot.の取材に対し、「車椅子席が最前列にしかない問題については、改善に向けて検討を進めて参りたい」と回答した。
「覚悟を持って行動し続ければ、社会は変わるはず」
こう話す中嶋さんは、次は「室井慎次 生き続ける者」を見に行こうと心待ちにしている。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)