被害が多かった原因は?
市街地にクマが現れた場合、米田さんは人身被害を地図上で時系列に追っていく。すると、侵入経路や、向かっている場所の予測がつき、被害の発生を食い止めることにつながるという。足跡の追跡は、数時間単位のときがあれば、数日単位の場合もある。
2023年10月17日午前10時ごろ、秋田県大館市できのこ採りをしていた80歳の女性がクマに襲われ、頭と腕にけがをした。午後4時には2キロほど離れた会社の敷地内を歩いていた40代の男性従業員が、クマに襲われて背中を引っかかれた。
「このときは、クマの移動速度と方向から市街地のクリ林を目指して移動していると判断し、同日夕方、関係者に注意をうながしました」
近年、これまでは目撃例がなかった場所にもクマが出没するようになり、クマに慣れない自治体を慌てさせている。対応が後手にまわれば、人身被害が拡大する恐れがある。
「なぜ昨年度はクマによる人身被害がこれほど多かったのか。単に『クマの出没が増えたから』で終わらせるのではなく、検証が必要です」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)