そういうことをすると、僕らのネタを見てくれる人たちの中に「ジョジョ」好きの輪ができます。「NON STYLEって、『ジョジョ』のマニアックなネタをやるよね、あれ好きなんだよね」と。
でも、これは「私たち『ジョジョ』好きだけが知っていることをやってくれる」というマニア的な優越感でもあるでしょう。そんなふうにお客さんを選ぶようなことはしたくない。やっぱり僕らとして狙うべきは「ベタ」やと思うんです。
ベタっていうのは、見た人全員が共感できるもの。知識や文化レベルにほぼ関係なく、誰もが理解できる普遍的なものです。
ただ、ベタなことをベタな設定でやったらベタベタになって、「どこかで見たことがある」ようなネタになってしまいます。
勝負どころは「ベタなこと」を、いかに「斬新な器」に入れて新しく見せるか。今のお笑いシーンは、このフェーズに入っているように見えます。
たとえばヨネダ2000のネタは、めっちゃ斬新で奇抜に見えます。たしかに斬新で奇抜なところもあるんやけど、実は要所要所でちゃんとベタも入れている。僕から見て、さじ加減がほどよいコンビの1つです。
笑い飯はベタをベタじゃなく見せる天才
「ベタなこと」を「斬新な器」に入れて新しく見せる。その点でピカイチなのは笑い飯ですね。めちゃくちゃベタなんやけど、いつも設定が圧倒的に面白い。天才的やと思います。
笑い飯の何がすごいのか。ボケとツッコミが何度も交互に入れ替わる「Wボケ」というスタイルですけど、そこでポイントなのは、お互い相手に加担するツッコミはしないことです。
常に「俺のほうがおもろい」という戦いをしていて、相手のボケに対しては「そんなことあるかい、ちょっと変われ!」式に、めちゃめちゃシンプルに短くしか突っ込まないんです。