ドラマ「きのう何食べた?」はシリーズ累計945万部(電子版を含む)突破のよしながふみ氏による同名漫画が原作。2LDKのマンションで同居する、料理上手で几帳面かつ倹約家の弁護士・筧史朗(通称・シロさん/西島秀俊)と、その恋人で人当たりの良い美容師・矢吹賢二(通称・ケンジ/内野聖陽)の日々食を通して、男性2人暮らしの人生の機微を描く物語だ。
人気漫画のドラマ化だが、2019年4月に「season1」が放送、21年には映画化され、興行収入は14.1億円の大ヒットとなった。今秋スタートの「season2」は期待も高かったが、それにこたえるように、国内最大級の映画やドラマ、アニメのレビューサービス「Filmarks」による「2023年 地上波放送の秋ドラマ 初回満足度ランキング」で第1位に輝いた。
ドラマにハマるポイントは人それぞれ
人気なドラマであることは明白なのだが、これほどまでに「ロス」が巻き起こる理由をテレビウォッチャーの中村裕一さんはこう分析する。
「ドラマにハマるポイントは見る人によって異なります。俳優の何気ない仕草、声、立ち振る舞いからドラマ全体のストーリーや細かいエピソード、主人公はもちろん、そのほかの登場人物のセリフ、さらには主題歌、BGM、インテリアや小物まで、非常に多岐にわたります。
それゆえに、たとえ些細なツボでも、ハマったその人にとっては忘れられないシーン、かけがえのないセリフになる。つまり、積み重ねられたそれぞれの小さな“ロス”が集まることで、最後に大きな“ロス”へとつながるのではないでしょうか」
思い返せば、いくつもの名場面が胸にもよみがえる。シロさん(西島秀俊)やケンジ(内野聖陽)のリビングでの何気ないセリフ、ドラマのオープニングの主題歌とともに流れるオフショットのようシロさんやケンジの画像、二人の周囲の個性的なキャラクターたち…小日向さん(山本耕史)やジルベール(磯村勇斗)などなど、見る人それぞれに「かけがえのない」と感じるものがあるだろう。