映画「大魔神」(大映、1966年)のメインキャラクターに扮する増野祐二さん(群馬県、58)。「1年くらいかけて作りました」=米倉昭仁撮影

「お友だちになりたい目的で石炭さんに声をかけたら、それ以上の関係になってしまいました」(ぴかまるさん)

 池ハロも交流目的で訪れる人は多く、メイン会場の公園では気軽に撮影に応じたり、同窓会のような雰囲気で和気あいあいと談笑したりするコスプレイヤーの姿をあちこちで見かけた。

7歳のガンダムから58歳の大魔神まで

 参加者の年齢層も幅広い。

 増野祐二さん(群馬県、58)のコスチュームは映画「大魔神」(1966年、大映)に登場する守護神。よろいを着た武人の埴輪をモデルにしたといわれ、威風堂々とした姿は半世紀を過ぎた今でもファンに愛されている。

 増野さんは映画が封切られた年の生まれだそうで、自慢のコスチュームは映画やフィギュアなどを参考にして1年ほどかけて完成させた。

「女性のレイヤーさんは奇麗な衣装を身に着けた方が多いですが、私はマニアックな『かぶりもの』で攻めてみました」(増野さん)

テレビアニメ「機動戦士ガンダム」のメインキャラクターに扮する「ガンドくん」(千葉県、7)。名シーンのポーズがばっちり決まる。ガンダム愛が伝わってくる=米倉昭仁撮影

 7歳の「ガンドくん」(千葉県)が扮するのはアニメ「機動戦士ガンダム」だ。ビームサーベルを振り下ろす決めポーズがかわいらしいが、大人のマニア顔負けのガンダムへの愛情と知識があるという。

「池ハロは、すごく凝ったコスチュームの人とか、パフォーマンスが上手な人とか、さまざまな人が参加するので、それを見に来るだけでも楽しい」(ガンドくんの父親)

 漫画『鬼滅の刃』の人気キャラクター「煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)」に扮した「ニッチ」さん(東京都、39)も「親子連れとか、子どもがコスプレしやすい環境が整っている」と言う。

オリジナルのコスプレで参加した「ぴょんきち」さん(左、神奈川県)。「街なかで写真を撮ってもらえる機会はなかなかないので、池ハロはとても嬉しい」=米倉昭仁撮影

渋谷から「池袋に流れてきた」

 池袋とは対照的なのが渋谷だ。

 参加者からは「渋谷のハロウィンは怖い」「池袋のほうが断然いい」という話を何度も聞いた。

 記者は昨年、ハロウィンの渋谷を取材したが、確かに殺伐とした雰囲気を感じた。多数の警備員がひっきりなしに路地を巡回し、少しでも立ち止まっていると「移動してください」と、鋭い肉声が飛んでくるのだ。

 13年前からアニメ映画「魔女の宅急便」の主人公「キキ」に扮してハロウィンを楽しんできた中年男性3人は、渋谷から「池袋に流れてきた」と言う。

次のページ
六本木、渋谷と規制が厳しくなって…