尖鋭的詩人が自らの生い立ちと内面の軌跡、そして国内外の芸術家たちとの交流を語りつくす。
 内向的でとじこもりがちなところがあり、時代の暗い沼に触れた、冷気のようなものを終生持っているという著者。駅前に3人の白衣を着た死人が走っていた、幼年時代に見た幻覚を鮮明に覚えているという。キャバレーのボーイをして水商売とやくざの世界に触れた学生時代は、自分の魂をどのように生かすかで火の玉となり、乱読。太宰やドストエフスキー作品の底から聞こえてくる声を読んだ。
 創作にあたり、自らをぎりぎり狂う寸前までもっていく。アイオワで過ごしたときは英語を拒絶し、言語を枯らすように引きこもり、内的言葉に耳を澄ませ、その根底にある歌をつかもうとした。魂の激しさにおののく。

週刊朝日 2016年7月1日号

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