初公判を終えて会見で話す、被害者の女性検事=2024年10月25日

 事件化される性被害は氷山の一角だ。さらに事件化されたとしても、よくわからない理由で不起訴になるケースを、私たちは数多く見てきた。その背景に、こんな「ゆるさ」があるのだとしたら、真実を明らかにするための権力を、いったい何のためにこの人たちは握っているのだろう。

 被害者の女性検事によれば、元検事正は性交時に「これでお前も俺の女だ」と言ったという。「お前“も”」と言うのなら、「他に“も”」被害者がいるだろう。そう考えた女性が後に元検事正に問い詰めると、「複数の女性と性的関係はあったが信頼関係に基づき相互に確認した上でのこと」「相当の期間、交際が継続していたので、あなたのような被害者は他におらず、失敗したのはあなただけ」と答えたという。ただ元検事正は、被害女性との間にも「同意があった」と勘違いしたと話していたので、彼のいう「信頼関係に基づき相互に確認した」という発言をそのまま受け取るのは難しい。沈黙を強いられている被害者が他にもいる可能性はゼロではないのかもしれない。

 そもそも元検事正は、お酒を飲むと若い女性検事のお尻を触っているという噂があったという。実際に被害女性も、事件前にお尻を触られたことがあった。お尻に触れられた感触があり、振り返ると元検事正がいた。でもその時は、「まさか」という正常性バイアスが働き、問題化することはなかった。なぜなら元検事正は人望が厚く、部下からも慕われ、何より「関西検察のエース」として仕事ができる尊敬できる上司であったから。……ここで、私の頭はパンクしかける。……なぜ飲み会で若い女性のお尻を触るような男性が部下から慕われるのか……なぜそんな男性が検察という組織で出世できるのか……なぜ人望が厚いのか……。だって、「若い女性検事のお尻を触る」噂があったのだとしたら、それだけでもう、人望ゼロになるところじゃないのか。いったい大阪地検とはどういう組織なのか。

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