上皇さまも父と同じ19歳の皇太子だった53年、エリザベス女王の戴冠式に昭和天皇の名代として参列するため、欧米を訪問している。上皇さまは、還暦を迎える93年の誕生日会見で、当時をこう振り返っている。
「英国の女王陛下の戴冠式への参列と欧米諸国への訪問は、私に世界の中における日本を考えさせる契機となりました」
53年という年は、第2次世界大戦に敗れた日本が国際社会に復帰した翌年で、日本や日本人を見る世界の目はまだまだ厳しかった。19歳の青年だった明仁親王にとっては、そのあと長い友情を育むことになる各国の王族との出会いの場であると同時に、英国民の冷たい視線にさらされた場でもあった。
前出の八幡教授は、こう話す。
「昭和天皇も上皇さまも皇族として海外王室との親善の旅に出たのは、ともに19歳でした。悠仁さまも、天皇家の長女として公務を担う愛子さまも早いタイミングで、どんどん海外で学び同世代の王室メンバーと人脈を築く経験が必要だと思います。さらには、おふたりとも国民に聞こえてくる動静が少なすぎる点は気になります。たとえば英エリザベス女王が王女時代、紛争で家を失った子どもたちに向けてラジオ放送で演説を行ったのは1940年、わずか14歳のときでした。悠仁さまは皇位継承者として、愛子さまは皇室を支える内親王というお立場です。学業優先とのご家庭の方針は、もっともです。しかし、ご両親とともに公務に同席し、ご経験をもっと重ねるべきではと感じます」
悠仁さまも来年の9月には、18歳の成年を迎える。在籍する筑波大学付属高校は超が付くほどの進学校だけに、旅となれば受験勉強との兼ね合いも難しいところだ。
ただ、若い世代の唯一の皇位継承者であることも現実である。悠仁さまの成長と教育に関心が集まっている。
(AERA dot.編集部・永井貴子)