新監督に就任する岸田コーチ

拙守で投手の足を引っ張った野手陣

 投手陣は奮闘したといえるだろう。山本、山崎福が抜けた先発陣は一本立ちが期待された山下舜平大が3勝止まり。エース・宮城大弥は5月上旬に左大胸筋の筋損傷で1カ月半離脱した。救援陣も山崎颯一郎、宇田川優希、平野佳寿、阿部翔太が故障の影響でファーム暮らしが長かった。これだけ誤算が相次いだにもかかわらず、チーム防御率2.82はリーグ2位。打線の援護に恵まれなかったがエスピノーザ、曽谷龍平が好投を続け、リリーバーも来日1年目のマチャドが53試合登板で5勝3敗23セーブ14ホールド、防御率2.03、途中加入のペルドモが28試合登板で1勝0敗4セーブ14ホールド、防御率0.64と活躍。日本ハムから移籍した吉田輝星、ドラフト6位ルーキーの古田島成龍が共に50試合登板と奮闘した。

 痛かったのは野手陣の不調だ。昨年首位打者を獲得した頓宮は打率.197、7本塁打と苦しんだ。宗は打撃不振でファーム降格を経験、中川も故障で60試合出場にとどまった。広島からFA移籍した西川龍馬も打率.258、7本塁打と不完全燃焼に終わった。セデーニョも好不調の波が激しく、相手バッテリーが怖さを感じたのは森友哉ぐらいだろう。若手にとってはチャンスだが、目立ったのは太田椋のみと突き上げが物足りない。402得点はリーグ5位。打撃だけでなく、リーグワーストの78失策と拙守で投手の足を引っ張る場面も目立った。

 ただ、球団OBは「問題は個々の選手が残した数字だけではない」と指摘する。

「打てるときがあれば打てない時がある。相手も研究してきますから。見つめ直さなければいけないのは野球に向き合う姿勢です。中嶋監督が全力疾走をするように言っても改善されないのは、プロとして情けない。誰でもできることですから。ただ、選手たちの目の色が変わった試合がありました。T-岡田、安達了一の引退試合となった今季ホーム最終戦(9月24日)です。試合は敗れましたが、功労者である岡田と安達を良い形で送り出そうという必死さが選手たちから伝わってきた。あの姿勢をシーズン通して続ければ、結果は変わってくる。精神論になってしまいますが、中嶋監督の残したメッセージを選手たちはどう捉えるか」

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