文庫ノベライズ『相棒22』シリーズ。装丁は大岡喜直さん(next door design)。
文庫ノベライズ『相棒22』シリーズ。装丁は大岡喜直さん(next door design)。

 描くのは、意外と亀山さんのほうが難しかったです。右京さんの場合は、オールバックに眼鏡、英国スタイルのスーツにネクタイで「相棒」というタイトルロゴがあれば、ある程度「右京さん!」という印象になると思うんです。亀山さんにも、フライトジャケットやTシャツといった定番のスタイルはあるけれど、そこまで特徴的なものではないですよね。あと亀山さんの場合、喜怒哀楽の表現によってお顔の見え方もかなり違ってくる。その豊かな表情を絵にどう落とし込んでいったらよいか、結構悩みました。

縛りがあることでしか描けない絵がある気はします

――上・中・下巻、3冊でそれぞれ構図はどのように?

 ドラマの雰囲気や、右京さんと亀山さんの恰好よさが伝わるといいなと思いながら描きました。静と動の対比とか、あと下巻では、右京さんがパッと手のひらを前に突き出す瞬間を描いたのですが、知的な人物のちょっとお茶目な一面を表現したいと思って、チャレンジしました。

――今回はデジタルでラフを描いたあと、アクリル絵具で原画を仕上げていただきました。

 デジタルであれば、いろいろ試したりもできるし、やり直せるところが良さでもありますよね。でも、アナログには一発勝負の良さ、みたいなものもあるかなと思うんです。もちろん直せたほうがいいときもあるんですけど、きっちり描くことだけがすべてじゃないというか。まあ不自由ではありますけど、そういう縛りがあることでしか描けない絵があるような気はします。

 ちょうどアクリル絵具で描いているときに、途中で写真を撮ったものをお見せしますね。

デジタルで下描きしたイラストを隣に置いて見比べながら、仕上げていく(高杉千明さん提供)
デジタルで下描きしたイラストを隣に置いて見比べながら、仕上げていく(高杉千明さん提供)

 汚れないようにチラシでカバーしながら、下描きのiPadを横に置いて、見比べながら描いていきます。最初にトレースしてはいるんですが、やっぱり色とか、細かいところまでは紙に写したとき、きれいに写しきれないので、横に置いて見ながら描き進めていきます。

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