公演期間中もやる気が途切れないよう、食べたいものを食べたいだけ食べるのが彼女のスタイルだという(撮影/写真映像部・和仁貢介 hair & make up 面下伸一 stying 朝倉豊 costume Ameri、MARIA BLACK × CINOH for Demi-Luxe BEAMS)

同じことは一度たりともやらないぞ!

「でも、一度『いい』と言われたらそのまま、その経験に引きずられていたこともあったので、そうではなく、毎回新鮮な気持ちでやったらいいのかな、と。最初に脚本を読んだときは『これが正解かな』と思ったことが、『間違でもいいから、別の言い方でやってみよう』とやってみたら意外とよかったり、いろいろな発見がありました。『脚本を何度も読み込む』ことも、とても勉強になったことの一つです。

 同じことをやっていると、想像がついてしまうタイプなんです。だから、『同じことは一度たりともやらないぞ』という気持ちで、稽古に臨んでいます」

 脚本を読んだうえで感じた“正解”は、自分のなかでの正解でしかない、と感じたことも大きな収穫だった。登場人物を理解したつもりになっていても、いざ稽古に臨むと、自分が読んでいた感覚とは異なる解釈や感覚で相手が動いていることがある。

「『私だったら、こんな読み方はできない』『どうやったらあの表現を選択できるようになるんだろう』『なんであの間がとれたんだろう』。今回、本当にお稽古にお金を払いたいくらい、勉強させていただいています」

「何かください!」と常に見る

 伊原は真っすぐ、明るく言う。

「私は自分が持っているものはすごく少ないと思っています」

 だから、脚本や役について事前に考える。稽古場に立ったときに、心がけていることがある。

「とにかく、『相手を見る』。めちゃくちゃ見ています(笑)。『相手は微笑みながら言うだろう』と思っていたのに怒りでこられたら、こちらの反応が変わってくるじゃないですか。脚本を読んでいる段階では私が想像できなかった違う表現を引き出してもらえることもある。持っているものが少ないからこそ、とにかく『何かください!』という気持ちで、常にその人を見るんです」

ダンス部のキャプテンとして

 努力をいとわない。根性が据わっている。高校時代に部活で鍛えた精神だろうか。

 2017年、大阪府立登美丘高校ダンス部が「日本高校ダンス部選手権」で披露した「バブリーダンス」は一世を風靡した。カラフルな衣装に身を包み、荻野目洋子さんの「ダンシング・ヒーロー」をキレキレのダンスで踊る。彼女はそのダンス部のキャプテンだった。

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